【#ぎく_本編】
『──』に『─』の面影が、見えたような気がして。
『──』に、手を伸ばそうと、……けれども、届かない。

諦めた様に、三島樹依は笑う。

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【#ぎく_本編】

『──』が手を、握り込む。
文字通り、最期となる抵抗が呆気なく粉砕される。

一歩、踏み込んで。

「……さようなら、三島さん」

親愛の様に、嘲笑の様に、嗤って。
ぐちゃぐちゃに入り交じる感情のまま。
手を開き、再度握り込んで。

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【#ぎく_本編】
「っ、……死ぬなら、少しでも皆の行く所に行くのを止めてからっ!!」

机を、椅子を蹴り倒す。
そして、岩塩を野球の如く振りかぶり、『──』に投げ付けて。

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