■川の流れに -Different Door-
暑い季節も終わり、落ち葉が目立つようになってきたね。
ちょっと冷たいそよ風が小川をサラサラと
たなびかせていて、いかにも涼しそうだよ。

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■夢見の石 -dream tower-
公園の隅に、四角いオブジェを見つけた
それは、どこから見ても誰かの意思で手を加えられた四角い人工物なのに、誰かの意思がまったく感じられなかった

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■向かい合わせ -face to face-
そこは、どこかのカフェのような場所だった
少し開けた敷地内に、白い椅子が2つと丸いテーブルが、生まれた時から運命づけられた三つ子のようにセットで並べられていた
全部で10セットぐらいあったと思うけど、彼らに座る人は永遠にいないようだった

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■星空番地 -star map-
今日は、星ひとつない夜空だった
空は薄い闇に覆われていて、まるで星たちが見つかってしまわないように、ひっそり隠しているみたいだ
煌めく夜空よりも地面の方が明るいなんて、奇妙な感覚だった

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■空の実 -Fairy Tree-
私はお腹が空いていた
それに、喉もカラカラ
さっきまでは何ともなかったのに、どうしてだろう?
突然襲てっきた飢えと渇きにゲンナリしながら、私は空を見上げた

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■ドレミの窓 -Melodys Window-
どこからか、不思議な音が聞こえてくるってあるよね?
この世界のどこかで生まれた音が、空気を伝って届いてくる…
私は その音がどこで生まれて、どんな世界を巡ってきたかを夢想するのがたまらなく好きたっだ

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■間違いさがし -Erase Park-
何でもない風景に、ふと違和感を感じるときってあるよね?
それは、風に乗ってくるくる流れる落ち葉だったり、月夜に灯る外套の灯りだったり、夕日に照らされて伸びる影であったり…

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■ラッパの園 -Whisper Garden-
私、ユリというお花が何となく好きなんだよね
形がラッパみたいで面白いし、どこか耽美な趣がある
だから、そこにユリのお花畑を見つけたときも、心が躍ったんだ

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■何か実っていた木 -Unknown Tree-
木に小鳥が実っている…最初、私はそう思った
その木に実っているものが、あまりにも鳥に似ていたからだ

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■雨降り街 -Umbrella City-
突然雨が降りだして、私は帰路を急いだ
空から打ち付ける水玉が、飛沫になって世界から色を奪っていた
もう、服の中までぐしゃぐしゃで気持ち悪いよ

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■世界会議 -World Reader-
そのベンチは、とても不思議な並び方をしていた
全部で3つの椅子が向かい合い、まるでカタカナの「コ」を大きくしたような形だった

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■天空の道 -Feather Road-
ことり、と音がした。
何か硬くて小さい物ものが地面に落ちたような音だよ。
注意深く足元を見まわしてみると、小さな鳥のお人形が地面に転がっていた。

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■さかさま坂 -Never Slope-
私が幻想郷を旅していた時、坂道が好きでよく昇っていた
先が見えない坂道を何も考えずに昇っていくと、昇りきった先にはこれまでとは違う景色が広がっている
私は、そんな風景を見るのが堪らなく好きだった

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■ふわふわ販売機 -ghost drink-
突然声をかけられて驚いた
振り返ると、闇の中に光で出来た窓が浮かんでいた
イラッシャイマセー
窓の部分以外は夜よりも深い暗闇で、ただ光だけが煌々と浮かんでいるように見えた
私は心の中で、ふわふわという名前をつけた

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■風の強い日 -mischief Wind-
今日は風が強いね
これはもう突風と言ってもいい
風を前にすると息ができず、後ろにすると背中を押されてしまう
スカートを捲り上げられて、咄嗟に抑えてしまうのは無意識故だろうか
誰も見ていないし、誰も私を見れないのにね

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■お返事ポスト -child post-
玄関の方で物音がした
ゆっくりドアを開けてみると、ポストが風に振られてカタカタ鳴いていた
またか…と私は思って、ポストを覗き込んだ
ポストには、小さなお手紙が入っていた

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■落ちていた袋 -Wonder Bag-
この袋はいったい何だろう?
私は道端に置かれていた袋を見つけ、足を止めた
袋は黒い紙で出来ていて、何の模様も描かれていなかった
世界の始まりから置かれていたかのようにも見えたし、今にも誰かが探しにくるようにも見えた

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