50.「純情パイン」
毒々しいギャグ描写と予想を遥かに超えてくる展開、カルト的人気を誇る尾玉なみえ先生によるジャンプ打ち切り三部作の始まり。
本作は小学生の頃に読んで衝撃が止まらなかった。いまだに尾玉先生の描く毒は私の精神を犯し、幽霊の女の子の影をちらつかせている。

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43.「人間と怪物の間」
菅島茂による奇形ホラーの怪作。
飛行機事故により芋虫状態となった弟が忍び寄る恐怖。
ラストもループ構造となっており、読後の後味の悪さは脳裏に焼き付いて離れない。

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39.「モジャ公」
藤子・F・不二雄のブラックコメディのセンスが光るSF作品。
死が無くなった星(恐らくザルドスパロディ、登場キャラはタコペッティだが)で自殺ショーをしたり、地球滅亡に宗教が絡んだりと暗いコメディ描写が多い。
F先生のSF造形の深さが窺える一冊。

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29.「蘭館」
しだ翠(いけうち誠一)による人間と植物が合わさったゴシック作品。
少女の儚さと蘭の美を掛け合わせた本作は生命の躍動を耽美に描く。
いけうち誠一のホラー描写の中でも、一際美しさを放ち、狂気の夢は華を咲かせていく。

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27.「人形少女」
「雀鬼」で知られるいつきたかしの初期劇画作品。
人形に対する倒錯をねっとりと描写するが、突然にハイウェイを駆け抜け人形を犯す場面に切り替わったりと衝動のままに表現したかのような勢いの凄まじさは強烈な印象を残す。

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23. 「神様お願い」
小骨トモ先生による学校の閉鎖的社会、抑圧された思春期の性、屈折した人間性を凝縮した短編集。リアルな学校生活を彷彿とさせながら、弱者の鬱屈する精神世界が人間味を際立たせる。「スモウちゃん」「藤田の生首」協調圧力を強いる学校という社会の闇を感じる。

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16.「美しい人間」
伊藤まさやによる未単行本化の大傑作。
奇形ばかりが存在する世界で美しい人間を作ろうと、死体の綺麗な部分を繋ぎ合わせビューティという人間を創り上げる。
真に美しき存在を追究した本作は、形而上学的なテーマへと昇華させている。

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7.「性なる死想」
早見純では「ラブレター・フロム・彼方」に並ぶ傑作。
抑圧された性を歪な形で昇華させ、純粋な人間性を浮き彫りにする作風はもはや美の境地である。
脳を切り開き自分を見つけ出そうとする倒錯者、男性を殺す少女の清らかな顔など異様なカットにも心酔させられる。

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