瞬間、アイリスをその背後から飲み込むようにして黒い靄が膨れ上がった。

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「とても辛い事があったのね……此方においで、アイリスさん。もう、大丈夫よ」

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「──炎の精霊の名のもとに我が力となれ!」

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「……俺は『揺籠』。だけど、『黄龍』って呼んでね。ほら、『黄龍』の方が何か格好良いじゃん?」

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「改めまして──御機嫌よう、魔法の子達」

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 クレドの瞳は最期まで、そして今もレヴィの事を視界に入れていた。それだけは、確かだった。

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 ソイツは手をぐっと握った。
 それだけで、何かが破裂した音と共にライの叫びは消えた。

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「──重く揺らう鋭き水よ、清く尊い聖なる龍よ。その御力宿りし咆哮を以て畏れさせよ……!!」

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 普段隠れている筈の右目は晒されていた。大きく輝く〝獣〟の瞳はソイツを一直線に捉えて離そうとはしない。

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