ここでやっと登場する石津嵐版『宇宙戦艦ヤマト』、1975年。アニメの初期設定を使っているらしく、内容はほぼ別物の鬱展開。テレビ版にもあった科学の発達と裏表の不安・不信感がたっぷりで、これに『さらば宇宙戦艦ヤマト』を足すと、キムタク版『宇宙戦艦ヤマト』になります。

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ハヤカワはSFだけでなくFTも文庫の数を増やしていきます。萩尾望都がイラストを描いたディクスン『ドラゴンになった青年』1979年。実験の失敗で異世界転移した恋人を追った青年が、さらに失敗でドラゴンに憑依。ドラゴン退治の騎士やらオオカミやら女弓士やらを仲間に加えつつ

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高校生デビュー、SF界のプリンセスといわれた新井素子が高一コースで『星へ行く船』の連載を始めたのも1980年。新井素子としてはSF度は軽め。雑誌連載時は竹宮惠子のイラストでしたが、翌年の文庫化の際は表紙以外は全部別の人になりました。

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その人気に目を付けた角川が86年に人気イラストレータ登用文庫のキャンペーン、ファンタジーフェアを打ち出しました。
この成功が系列の富士見からドラマガ創刊とファンタジー文庫設立、自社レーベルスニーカー文庫成立につながり、現代ラノベの土台が形成されたといえます。

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ハヤカワSFでP・アンダースンの『大魔王作戦』。科学の代わりに魔法が発達した世界での、キリスト教圏の連合軍とサラセン教主軍の間に起こった第二次大戦を描いたスパイもの短編集。箒をエンジンにした戦闘機と魔法の絨毯の空中戦とか、そっちをメインで読みたかったなー。

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84年は笹本祐一の代表作『妖精作戦』の登場年。大人の大義名分に逆らう少年たちの反逆譚。多くの作家に影響を与えてます。シリーズが進む毎にイラスト担当が変わるのはよくある話ですが、『妖精作戦』は同じ1冊目のイラストが激変してます。まるでラノベ界の示準化石。個人的には

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菊地秀行のロマンチックホラーSF『トワイライト・レディ』。これも87年、コバルト掲載短編をまとめたものだから、発表年は86年かな? エマノン的な、永遠の時を生きる不思議な女性と、彼女と出会った男たちの物語。菊地×コバルト×ロマンチックの組み合わせは貴重です。

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本当はオカルトやホラーが専門というか、そっちでは第一人者の朝松健による熱血格闘技コメディ。口先だけの格闘技オタクがボディビルダー少女や薙刀少女らを集めて格闘技同好会を作り、全方位に喧嘩を売ります。イラスト担当が誰かは見れば分かりますね?

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同じく初期ドラマガを代表し90年以来、今も新刊が出るライトノベル界の最長不倒の『スレイヤーズ』。一見してチート主人公の無双譚で雰囲気的には『シェクティ』とは逆方向っぽいのだけれど、けっしておざなりな勢いだけの話じゃないんですよね。そうだったら21世紀まで続かない。

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『時の果てのフェブラリー』1990年。山本弘作品ではいちばん好き。ハードSF×ファーストコンタクト×美少女で、異常地帯ものをやってます。通常の人間の五感を超えた知覚力を持つ11歳の少女を守って、軍人たちが最新鋭装備で時空が歪んだ世界に挑みます。

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津守時生の『喪神の碑』シリーズも90年。滅びた文明の再興を使命とする「黄金のイルカ」号とそのクルーの冒険譚。重厚で壮大なスケールの物語と、軽妙でコミカルな会話が繰り広げられるスペースオペラ。無人の世界でAIに育てられたせいで、オネエ言葉になっている船長が陰の主役

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絶対に雑には語れない『星虫』でとりあえず90年は終わり。ボーイ・ミーツ・ガールを基本に人類の進化する方向性を描いたジュブナイルSFで、『イーシャの舟』『鵺姫真話』『鵺姫異聞』の4冊で1セット。舞台となる時代も場所も違い、それぞれ独立して読めるのに、合わせて読むと

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戦隊もののラノベとしては、『閃光戦隊ジュエルスターズ』『学園戦隊バトルフォース』より遅く、『南国戦隊シュレイオー』より早いです。芸亭高校の地下に眠るアレクサンドリア図書館を守るため、図書委員5人は書庫の聖人ランガナタンⅢ世に力を与えられ正義の戦士『図書館戦隊ビ

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2000年発売のゲーム、みんな大好きな『ガンパレード・マーチ』。その年末には広崎版ノベライズが出たけれど、リプレイ的なイメージがあって今ひとつ馴染めず。その後、榊版が2巻扱いで刊行されたけど、これがリブート扱いで、まったくの別物で刺さりました。

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菊地秀行のエイリアンシリーズの正当後継者、まだ未成年の主人公が日本どころか米国すらあごで使い、卓越した身体能力と無尽蔵な財力と世界最新の装備で超古代文明(ほぼ宇宙人)の遺産争奪に挑むという、歳の差9歳の実親子が活躍する『ダディフェイス』も2000年。

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2001年、21世紀とは思えぬ古めかしい文体のミステリが富士見ミステリー文庫から。新城カズマ「浪漫探偵・朱月宵三郎」シリーズ。現代社会に蘇った<夕闇男爵>などレトロな怪人に狙われる美少女など、江戸川乱歩など昭和中期を舞台とした作品を彷彿とさせるミステリ。

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菊地秀行のエイリアンシリーズも02年の「黒死帝国」でイラストが柴田昌弘に。内容的には柴田版の方が合ってる気がします。でも、その後ソノラマ文庫は廃刊になり、ノベルスの合本版では米村孝一郎のイラストに。こちらもこれでカッコいいですが、大ちゃんちょっと顔が良すぎです。

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『バッカーノ!』も02年開始。普通の人は知らないけれど、18世紀にアメリカに渡ってきた不死身の錬金術師たちの動向は、しっかりFBIの監視対象になっていた。ところがその1人が作った不老不死の酒がなぜか禁酒法時代のギャングの手に渡ってしまった……という、パッチワークの

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バロウズ『火星のプリンセス』は内外共にむちゃくちゃバリエーションがあるのだけれど、03年版は児童書枠で山本貴嗣。歴代ではいちばん好きかも。

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あと03年を語る上で外せないのは、『涼宮ハルヒの憂鬱』かな。予想外のヒットでメディア展開しました。3冊目までは読みました。ただまあ、中高生のうちに読みたかったかなあと思いました。

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