「イヅル。おまえ今日から、きのこ係」
 三枝探偵事務所の扉を開けるなり、叔父・康明が俺に向かって宣言した。
「迷い猫ミルキーちゃん事件を解決しただろう。依頼主が非常に喜んでいてな」
 三十路がらみの叔父は、かったるそうに窓の下を顎で指す。
 きのこがあった。

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