# 来冥

【星降夜 3月新月】

雨の後、
いつもの料理屋の屋根の上

「やまない雨は無いと言ったろ?」
と笑う獅子に「そうですね」と彼女は微笑み返す。

まだ肌寒い新月、星たちの祝福の中
互いの体温を感じながら2人は思い出話に花を咲かせる。


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【通り雨】

墓参りにやってきた二人に突然の通り雨。

墓石の主は彼にとっては双子の兄であり、彼女にとっては夫。

雨は彼女にとってトラウマであり、彼にとっては出会い。

「辛い気持ちは俺が上書きしてやる。気持ちは必ず晴れる。止まない雨がないのと同じように」


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