『人間失格』
自虐と嘲笑、虚栄と欺瞞。葉蔵が背負う孤独は好きな女や僅かに心を許せる友人ができても拭い去れない深淵にある。両親の愛を求め道化を演じる悲しさ、幼き日々の堪え難い屈辱。弱さは自らの存在意義を示す有効な手段と悟る。その敬体文章に心の鎧をすっかり解かれた。

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