優奈「…っ!?」

有り得ない光景に、優奈達が息を呑む。
当然である。千菊の手に大きく拡がった筈の切創が、痕も残さず消え去っていたのだから。

勇矢「傷が、一瞬で塞がった…!?手の甲全体に拡がる傷だったはずですが…」

アミクス「イレギュライザーの力…ではないわね。身体的要因によるものか」

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優奈「…よし、っと。お待たせしました、お持ち帰りの苺大福になります」

優奈がシホに向けて、プレゼント用のラッピングがされた苺大福の箱を差し出す。

勇矢「ランチタイムもそろそろ終わりですね。店内のお客様がお帰りになったら、我々もお見舞いの準備をしましょう」

優奈「はいっ」

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ゼノ「じゅるり…はっ、今は我慢…はむはむ…」

ルビー「自分の分を注文すれば良いでしょうに…」

勇矢「申し訳ないのですが、せめてランチタイムが終わるまで我慢して下さい。ゼノさんの空腹を満たす頃には、材料が尽きてしまいますので」

優奈「有理沙博士も、試行錯誤している最中なんですよね」

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勇矢「そうですね…敢えて言うならば、アイバ課長にも春が来たのでしょう」

優奈「ワイルドアスロンの時も、楽しそうでしたからね」

ライト「ワイルドアスロン…話は聞いたが、よく楽しめる競技だった様だな」

優奈「うん。ライトもワイルドエリアに行ってみると良いよ」

ライト「機会があればな」

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勇矢「どうやら、この御仁は技を見る眼力も確かなご様子。ナナイロの皆さん、指導を仰いでみては如何でしょう?」

優奈「(…この場に望くんが居たら、どんな反応をしてたのかな…?)」

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優奈「かしこまりました。苺大福、人数分お包みします」

勇矢「ありがとうございます。月に一度か二度の和風メニューの日…という事で、お茶には特に拘っております」

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優奈「うーん…服…は、気に入った物があれば、ロキちゃんならコピーしちゃうし」

勇矢「そもそも、彼女の趣味趣向がよく分からないのですが」

アミクス〈確かに難しいわね…。新しい機体とか、装備プランとか?〉

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優奈「そうですね…病院で食べるなら、大福とか、羊羹みたいなお菓子が良いでしょうか」

勇矢「ふむ…でしたら、苺大福などお包みしましょうか?」

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優奈「お待たせしました、けんちん汁セットになります」

二つのトレーを持って歩いてきた優奈が、手慣れた所作で本郷達の前にトレーを置く。

炊いてからまだ時間が経っていない白米と、作りたてのけんちん汁が湯気を立てている。

「ご飯はおかわり自由なので、足りなければお申し付け下さい」

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優奈「オカルト…?」

ライト「以前、私の存在が学園七不思議なるものにされていた事はあるが」

勇矢「オカルト…つまり今回の話は、幽霊や吸血鬼といった荒唐無稽な話が絡んでくると?」

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優奈「はい。時間のある時に、フォースメンバーの皆とお邪魔しますね」

勇矢「(…望くんに頼んで、ゼノさんに沢山のカロリーブロックを持たせなければ…)」

検査結果待ち中の望「…くしゅっ!か、花粉症かな…?」

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優奈「千菊さん達も、ゼクロスさんの探偵事務所に縁があったんですね…」

勇矢「仕事仲間ですか…なるほど。そして、お二人も平行世界の出身だったのですね」

「以前から、随分と戦い慣れている雰囲気だとは思っていましたが…納得です」

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優奈「勿論ですっ」

「あ、お待たせいたしました。ご注文のお茶漬けになります。ごゆっくりどうぞ」

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優奈「鬼王、剣術…!?」

勇矢「(武道の心得がある事は分かりましたが、自身の流派を持つ師範だったとは…!)」

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優奈「いらっしゃいませ。席は空いていますので、お好きな所にどうぞ」

勇矢「(噂をすれば影…と言ったところでしょうか。何やら、巡り合わせめいた物を感じますね)」

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優奈「紅葉さん、藍理さんと一緒に、この世界とは別の”平行世界”からやってきた…というのは、以前教えて頂きました」

「アミクス…厳密には、彼女のマスターデータとも面識があったって」

アミクス〈でも、フィーリウスは千菊さんと雛菊さんを知らなかった。ゼクロスさんとは、どういう関係なの?〉

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ライト「好き嫌いが無い、良い事だ」

ルビー「この店に来る客は、好き嫌いを露骨に語る人が少ないですね。ストレスが少なく済んで、ありがたい限りです」

優奈「ルビーちゃんは、今から厨房?」

ルビー「はい。気が向きましたので」

優奈「そっか。それじゃあ、よろしくね」

ルビー「お任せあれ」

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優奈「竹の子おにぎりセットお一つ、承りました」

勇矢「ご注文ありがとうございます。それでは、少々お待ち下さいませ」

ライト「筍はこの時期が特に美味だと聞く。味は間違いないだろう」

「セット内容は竹の子おにぎりが2つ、漬物、だし巻き卵、日替わりの味噌汁だ。価格は税込520円」

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優奈「お待たせいたしました、アイスコーヒーになります」

優奈がゼノンの前にアイスコーヒー、ミルク、ガムシロップを置いていく。

「あれ?ライトは、いつものメニュー相談?」

ライト「そんな所だ。…そう言えば、今は期間限定の竹の子おにぎりセットがあったか?」

優奈「うん、あるよ」

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優奈「はい、お持ち帰りも大丈夫です」

勇矢「竹の子むすび、すぐにお包みします」

快く剛賢の注文を受け入れ、竹の子むすびを包み始める勇矢と優奈。

「…もう一つ、オマケで付けておきます。奥方とご一緒にどうぞ」

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