マッチ売りの少女は大人になった。
近所の花売りも靴磨きもみんな死んだ。
彼女は豪雪の悪夢を討ち、この国に春が訪れるようになった。
王様は褒美に望むものを問う。
彼女は言った。家が欲しい。願わくば大きい家が欲しいと。
「マザー」
今、彼女は大勢の子供たちにそう呼ばれている。

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