更紗和金。
「白磁の君は今日も麗しいな」
「白磁?白って言うには、赤いと思うが……」
「そりゃお前、一夜を掬ってみろよ。更紗の下の素肌を見りゃ、その秘密がわかるさ。まあ、その金があればだがな」
とある客ABの会話。

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 紅蝶。稼働している金魚の中ではかなりの古株。歌姫でもある。女の子の客しか相手しない。

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こういう金魚創作してます。
「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花。君の足を奪って金魚にした」

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「彼女は?」性別のない金魚に『彼女』というのも可笑しな話だが、彼女は不思議と、女だという気がした。「あぁ、ここの歌姫だよ、紅蝶だ」真っ赤な蝶尾の衣装を来た芍薬は、女性客にだけ微笑む。「男嫌いなんだ」「へえ」

君の足を奪って金魚にした。/金魚『紅蝶』

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ステージでショーが始まった。子供と呼べる年ごろの金魚たちが踊りだす。足と足がぶつかると、キンとガラスのような音が鳴る。『百合』と呼ばれるその金魚たちは赤い靴を履かされた少女のように、延々と踊り続けるのだ。

君の足を奪って金魚にした。/金魚『百合』

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水槽の中で飼われるようにショーウィンドウに『金魚』が展示されていた。ここは『金魚屋』。座らせ飾られた金魚は『牡丹』。膝から下の布が揺らめく。ガラスに額がつくほど近づいても、牡丹はピクリとも動かなかった。

君の足を奪って金魚にした。/金魚『牡丹』

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