「これをあげる」
ヨナはタロットを差し出した。

「審判のカード。あなたは大きな選択に迫られる」

「私に、できるかな…」
漠然と不安がのしかかる

「何を選んだって、あなたの物語よ」

私の手をとり、彼女は微笑む。
「こっちにきて。今日はお祭りの日なの」

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「あなた……。変わった星巡りなのね」

彼女のアメジストの様な瞳に一筋の光が流れた。
(今のは、星…?)

「私はヨナ。あなたとはもう1度会う気がするわ」
彼女がそう言うと、猫が一声鳴いた。

気づくと私は、路地裏で立っていた。
──猫は、もう居なかった。

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