奈良の鹿は激怒した。必ず、かの邪智暴虐のえさやりを除かなければならぬと決意した。奈良の鹿には鹿せんべい以外の安全性がわからぬ。奈良の鹿は、神の使いである。春日大社の周辺の、奈良公園で暮してきた。けれども食べなれぬものに対しては、鹿の腸は鹿一倍に敏感であった。

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