大正11年、非水は念願の洋行を果たし、ポスターなど参考資料の収集に努めました。「アール・デコ」と呼ばれる明快で幾何学的な装飾芸術のスタイルが流行し始めていたヨーロッパの実情に触れて帰国した非水の作風は、よりモダンでシャープなものへと展開します。

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「自然には新らしい図案が無限にある。新らしい材料が無限に供給されてゐる。此自然の材料を独自の技巧に依つて生かして行くのが、図案家の真の仕事ではないか。*」と杉浦非水は語っています。
非水は自然と対峙しその神髄を捉えることを自らの創作の根幹に据えていました。

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