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視線を巡らせれば近くの木の枝の上に誰かが座っているのが見えた。
短髪だが、顔の右側からは長い髪がこぼれ落ちている。魔道士のようなローブを身に着け、左耳にはSとかたどられたイヤリングをつけていた。そいつは怒ったような、しかしどこか悲しげな瞳で俺たちのことを見つめていた。
#物理事変
オブザーバーがそこまで言うと「そうだよ」とどこからか声が聞こえてきた。
声のした方に振り返れば銀髪で奇妙な髪型をした二人の少年が立っていた。こちらを見ていたずらっぽい笑みを浮かべている。彼らの頬には凸と凹のマークがついていた。
#物理事変
「大変失礼いたしました!私はオブザーバーと申します!」
そう元気よく言い、敬礼をした。
「そして、後ろにいるスピーカーの形をしたものがソース、板の形をしているものがリフレクションです!」
オブザーバーに紹介され、俺はなるほどと頷いた。
#物理事変
「ふふ、ジュールはとても優しい子なんですよ。口では色々言いながら、なんだかんだ私のことを心配してくれているんです」
そう言ってアンペアが立ち上がり、ジュールに近づくと優しく彼の頭を撫でた。思いがけないことをされたために、ジュールが目を見開き、照れくささから顔を赤くした。
#物理事変
教室の真ん中にぽつんと一人の生徒が座っているのが見えた。そいつは白い髪を前にも後ろにもぞろぞろと伸ばし、長い前髪の隙間から覗く目に眼鏡をかけていた。
彼は手元の本から目を離し、突然やってきた騒がしい来訪者を冷めた目で見つめた。
#物理事変
俺が言い終えるよりも先に「ちょっと待った!」と可愛らしい声が聞こえてきた。
驚いて振り返れば三人の少女がこちらを向いて立っていた。一番前にいる髪の一部を右で結んだ少女が気の強そうな顔で仁王立ちをし、俺のことを見つめている。その後ろに控えるように長い髪の二人が立っていた。
#物理事変
青年が息をつきバットを下ろすと野球帽を被り直した。それを見計らって俺は彼にゆっくりと近づいた。
「なあ、あんた」
そう声をかけると不思議そうにこちらを振り返る。青年は野球帽を目深く被っていたため目元が見えなかったが、精悍そうな顔立ちをしているのが伺えた。
#物理事変
「あなた、看板の立ち入り禁止という文字が見えませんでしたか?」
と後ろから落ち着いた男の声がした。
ぎょっとして手を止め、振り返る。いつの間にか入口に背の高い男が立っていた。紺色の髪で青色の瞳をしたその男は、腕を組んで俺のことを冷ややかに見つめていた。
#物理事変
しばらく一階と同じような見た目の廊下を歩いていると、前からコツコツとヒールの音が聞こえてきた。足を止め顔を上げれば少し先にピンク色のドレスを着た金髪の女が立っていた。その両側には人形を大事そうに抱えたメイド服の少女と執事のようにタキシードを着た少年が控えていた。
#物理事変
そしてじとっとした目で睨んでくる。
「……あなた、いつまでそこに突っ立ってるつもりなんです?」
いきなり話しかけられぎょっとする。
「え?あ、いや……。こんな光景今まで見たことがなかったから、つい眺めちまったんだ」
そう言うとそいつが呆れたように俺を見た。
#物理事変
ジュールの言葉にコンデンサと呼ばれたその女が再び頭を下げた。
「かしこまりました」
計算され尽くしたかのように美しい動作だ。優しそうに瞳を閉じ微笑みを浮かべたコンデンサは、特に女にうつつを抜かしたことはない俺でも思わず見惚れてしまうほどの美貌を持っていた。
#物理事変
「俺の名前はボルト。ここ、物理地方の王様かつ、理科の国の王様さ。で、君の横にいるのがジュールで、俺の息子」
(ボルトとジュールか……)
なるほど、物理地方らしい名前だと俺は頷く。それにしても、ジュールの父親にしてはボルトは随分と若く見える。
#物理事変
しかし、あともう少しで門をくぐれるというところで男がこちらを振り返った。
「……お客さん、入るならもっと堂々と入ってきて下さいよ」
そう言って男が俺を見て笑う。眠たげな顔をしているが、意外と気配には敏感らしい。俺は見つかったことに内心舌打ちをしながら男に声をかけた。
#物理事変
しばらく俺とそいつがにらみ合うようにお違いのことを見つめた。何も言わないそいつに焦れて再び口を開こうとして、そいつが手に持っているものに目が行く。それを見て、俺は思わず目を見開いた。それは、最近教頭に頼み込んで購入した真空放電管だった。
#物理事変