神剣〝夜焔(やえん)〟が、若者の喉をとらえた。
「観念して私に全てを明け渡せ」
人ならざる紅い瞳がイダルの身体を射抜き砕いていく。
「心配することはない。私と共に生きる少しの間、眠りにつくだけ」
「……断る」
イダルの意識が夜焔に溶けていく。
神獣伝記より抜粋。

2 2


キリクが沈痛な面持ちを浮かべるところを見たのはこれが初めてかもしれない。
扉の前で待ち構えていた彼はすまないとただ一言残して去った。愁傷な様子の彼が珍しいと感じつつ、イダルの機嫌でも損ねたのだろうかと緑斎は扉を開く。愚かしいことに、彼の浮かべた表情の理由など考えないまま

2 2


1枚目 キリク(男)
2枚目 緑斎(性別無)
3枚目 星詠み(性別無)

0 1