7月26日
夜、知人3人が「二十六夜の月の出まで話をしよう」とやって来ました。あとで眠気覚ましに食べようと思っていた柿が種だけを残し、物怪に食べられてしまいます。真夜中2時過ぎ、天井がめきめきと鳴り出すと、柿がもとの姿のまま落ちて来ました。

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 7月15日
中元を祝おうと友人らがやって来て酒盛りを始めます。平太郎が先に蚊帳に入って休んでいると、夜中、西江寺の卓と香炉がまた勝手に動き出したので友人らは蚊帳の中へ逃げ込みます。いつの間にか入って来た香炉は、友人らの頭の上に灰をふりかけて来ました。

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 7月14日
暮れ前、平太郎は西江寺から借りた御影と仏具を受け取ります。夜10時頃、仏壇の戸が勝手に開いたかと思うと、床の間にそなえておいた西江寺の卓や香炉が浮き、人が持って行くかのように浮遊します。ついに仏壇の中に納まると戸も閉まりました。

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 7月6日
平太郎宅門前に見物人が多く集まるため、村の役所から「見物禁止」のお触れが出ました。夜、叔父の川田茂左衛門らが話にやって来ます。夜半過ぎ、台所から塩俵がふわりと舞いながら座敷まで飛んで来て、川田らをおどかしました。

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