7月29日
夕食後、中村平左衛門が訪ねてきましたが、背中を手だけの化物に叩かれ、逃げ帰ってしまいました。夜10時頃、裏の物置に炭を取りに行くと、戸口いっぱいに大きな老婆の顔があり、物置に入ることができません。平太郎は、眉間に火箸を刺すと部屋に戻りました。

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 7月26日
夜、知人3人が「二十六夜の月の出まで話をしよう」とやって来ました。真夜中を過ぎ、眠気覚ましに食べようと思っていた柿を見ると、種だけを残し、物怪に食べられていました。真夜中2時過ぎ、天井がめきめきと鳴り出すと、柿がもとの姿のまま落ちて来ました。

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 7月15日
中元を祝おうと友人らが来て酒盛りを始めます。夜中、台所で大きな音がしたので行ってみると、物置にあったはずの漬物桶が置いてありました。その後、西江寺の卓と香炉がまた勝手に動き出し、蚊帳の中へ逃げ込んだ友人らの頭の上に香炉の灰をふりかけて来ました。

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 7月14日
暮れ前、平太郎は西江寺から借りた御影と仏具を受け取ります。夜10時頃、仏壇の戸が勝手に開いたかと思うと、床の間にそなえておいた西江寺の卓や香炉が浮き、人が持って行くかのように浮遊します。ついに仏壇の中に納まると戸も閉まりました。

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 7月6日
門前に人が多く集まるため、村の役所から「見物禁止」のお触れが出ます。新八が知らせに来たところ、刀の抜き身が飛んで来ました。夜、叔父の川田茂左衛門らが話にやって来ます。夜半過ぎ、台所から塩俵がふわりと舞いながら座敷まで飛んで来て、川田らをおどかしました。

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 7月1日
夜、火事かと思い飛び起きた稲生平太郎を、いきなり大きな怪物の丸太のような手が、わし掴みにし、座敷から引き出そうとします。怪物は、刀をすばやく手にした平太郎を見て、床下に逃げ込みました。また、騒ぎを聞き駆けつけた三井権八は、小坊主に会うと動けなくなりました。

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