ただ、如意丸の死の遠因はこの内戦を起こした直義にあることは間違いなく、彼自身が自分を責めたであろうことは想像に難くない
如意丸の死は観応の擾乱の勝者である筈の直義陣営に確実に影を落とす
それは直義自身の死も間近であることを意味しているのであった

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『太平記』に「如意丸は直義によって殺された護良親王の生まれ変わりである」と書いた人はちゃんと地獄に落ちたでしょうか
跡目争いの火種にしかならない子供と解釈したことで生まれた陰謀論でしょうが、赤子を不吉の象徴扱いするとかどういう了見だよ……

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逃げ若武将名鑑【足利如意丸】
足利直義、頼子夫婦が共に40代の時にできた待望の子供
その誕生は北朝上皇、公家、武家、尊氏からも祝福されるも、同時に観応の擾乱の火種にもなってしまう
観応の擾乱の際は数え5歳で父と共に参陣していたが、陣中の寒さに耐えられず夭折
 

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【Tips】おさまれと/私もなく/祈る我が/心を神も/さぞ護るらん
観応の擾乱の渦中、尊氏が詠い松尾社へと奉納した歌
この騒乱が治まるように私心なく祈る私の心を神は護ってくれるだろう…と何の捻りもなく詠んでいる
尊氏のあまりに素朴な楽観思考がそのまま表れている
 

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出自の怪しさはともかく、あの師直からも溺愛され、アンチ高一族の『太平記』においての評価も高い
なんせ出家してでも命に縋る師直らを「血気の勇将」と非難した項において「まだ若年だから出家すれば助けてやろう」の助命を断り潔く死を迎えたことを嘆かれるくらいですから

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母である「前関白の妹」は二条道平の娘と見られており、そんな出自の彼女を略奪した悪行が正に婆娑羅な師直らしさ
ただし出自に関しては師直を悪し様に描くことで定評にある『太平記』準拠のため鵜呑みにはできない
道平は太政大臣ではないから結局誰の妹だ?ってなるし

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逃げ若武将名鑑【高師夏】
高師直の息子で高一族春夏秋冬コレクション最後の一人
師直が前関白ないし太政大臣の妹を攫って産ませたという厄ネタそのものな出自を持つ
美しい容貌と善良な心を持っていたが、武庫川での一族暗殺に際して助命を断り処刑された。享年13歳

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「庖丁道」とは調理のみならず料理に関する作法や故実をも総称した日本料理の礼式で、大草流は元々公家の流儀の四条流から分かれて武家の料理の流儀となります
大草流は将軍家での祝い事の膳を担当しており「騎走」「水月」「崩雲際」等やたら格好良い包丁の構えを秘伝とする

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逃げ若武将名鑑【大草三郎】
恐らく足利義満の料理人で大草流庖丁道の創始者とされる大草三郎左衛門公次
彼の父親は高師直の配下であり、四条畷の戦いで先陣を切って討ち死にしている
足利将軍家の料理は毒殺を恐れ、大草一族のような忠誠心の強い譜代の家臣に任された

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そのため三浦時明の弟というのも逃げ若独自の設定です
三浦家は宝治合戦でメフィラス義村からの系譜は途絶えましたが、傍流の佐原氏によって再興され、分家も多いのでもはやどの支族出身かは判別不可能でしょう
歴史の影に潜む暗殺者と言えます

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『太平記』での暗殺の流れは、出家していた師直に対して三浦の部下が「そこの遁世者、笠を取れ」と言って笠を斬り落とし、その顔を確認した八郎が「願っていた敵だ」と言って斬りつけたとされます
このことから高一族に恨みを持つ人物とも思われますが、史料不足で一切不明

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逃げ若武将名鑑【三浦八郎】
三浦八郎左衛門。上杉家の配下と思われる
上杉能憲の命を受け、打出浜の戦いの後の和議の条件で出家した高師直、師泰一行を武庫川付近で襲撃・殺害した
この暗殺劇にだけ出てくる人物であり、彼の出自もその後も一切不明である

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逃げ若では「筆仕事を隠れ蓑にした武官」扱いですが、その辺もよくわからない
前述通り執事の仕事は直義に横取りされ、戦の強さも師泰軍に属して打出浜で負ける前までは活躍した"かも"くらい
生き残っていれば活躍の目がある若手でしたが武庫川で一族と命運を共にします

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ただ、結局執事としての権限は直義に吸収されており、直義としては師世を傀儡にして政権を牛耳ることが目的とも取ることができます
最終的に師泰ではなく師世を後任としたのも、若年のため御しやすいからとも解釈できるのです
権力欲が強かったのは高一族だけでなく直義も同じ

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室町幕府二代目執事の肩書が意味することは、直義が高一族を起用していたということです
高一族と対立しているイメージの強い直義からすると意外ですが、師泰の妻は直義の母の妹のためその縁故かもしれません
『太平記』では師泰を後任にする構想もあったと記述されています

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逃げ若武将名鑑【高師世】
高師泰の嫡子であり、伯父の師直が解任された後の代理の二代目執事
御所巻の際には高一族として師直軍に参加しており、直義派と対立したものの打出浜の戦いで敗北
父や伯父同様に出家するも武庫川で襲撃に遭い暗殺された

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逃げ上手の若君20巻らくがきまとめ https://t.co/mA1WU4VxCb

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分断された高一族は上杉能憲や三浦八郎らにより暗殺
『太平記』は師直らを「血気の勇者」と称しており、その意味は「強さを誇示するが、いざ自分が負けると出家してでも命にすがる」で仁義の勇者と比較して批判している
逃げ若では勝ちを諦めぬ猛者でロスタイム突入ですが……

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この時、尊氏も師直らを「降参人のハゲと一緒に帰って噂されると恥ずかしいし」と邪険に扱ったともされますが、少なくとも『太平記』では上杉憲顕らの手で横入りが起きてる
その後、尊氏が師直暗殺にキレ散らかしてるの見るに、尊氏は関与しておらず直義の独断と考えられる

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【Tips】血気の勇者
打出浜での敗北後、直義と尊氏は高師直・師泰・師世の出家を条件に和睦
しかし直義は講和条件を守る気はなく、師直らを京への帰路で暗殺を目論む
師直達も暗殺を察知し、尊氏の傍から離れないようにするも、途中から横入りの軍が大勢現れ孤立した

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