○人面里芋:じんめんさといも

神沼三平太「千粒怪談雑穢」№070
佐渡島でのこと。ある集落の女性たちが里芋の収穫をしていると、引き抜いたある里芋の株の子芋全てに男の顔が浮かび、目を開いて睨みつけてきたという。

20 42

○節分幽霊:せつぶんゆうれい

ある年の節分の日、ある人は仕事で忙しく、翌朝帰宅すると部屋に豆が転がっていた。不思議に思っていると隣人から「お母さん、節分張り切ってましたね」と言われた。彼の母親は数年前に他界しているが、厄除けの為に豆まきをしてくれたのだと感じたという。

17 32

○赤蝋燭:あかろうそく

神沼三平太『千粒怪談 雑穢』№064

家の前の砂利道で遊んでいると、急に夜のように暗くなった。驚いていると人の背丈ほどもある火のついた赤い蝋燭が列をなしてやってきた。母を呼んで玄関の扉を叩いたが誰も出てこず、泣き叫んでしまったという。

18 38

○ストンストン

神沼三平太『千粒怪談 雑穢』№047

ある小学校でのこと。女生徒が本を読んでいると男の子の顔が机の上に乗っている。不思議に思っていると、上から同じ顔がストンストンと降ってきて積み重なり、天井まで届く顔の壁になった。女生徒は驚いて走って逃げたという。

21 62

○黒二人:くろふたり

神沼三平太『千粒怪談 雑穢』№036

横浜市北端。ある人が子供の頃、某私鉄の駅のそばで道に迷うと、路地の向こうからやってくるという真っ黒な2人連れに何度も遭遇した。何をするわけではないが、顔を覗き込んでも真っ暗で表情がうかがえず、恐ろしかったという。

17 43

○ 眼バルーン:め‐

神沼三平太『千粒怪談 雑穢』№032

ある人が小学生の時のこと。友人の家へ向かう途中、ビルの4階くらいの高さに大きな黒い球体が浮かんでいるのが見えた。アドバルーンかと思っていると、不意に大きな眼を見開いて迫って来たので、泣きながら逃げたという。

32 65

○杖つきババア:つえ‐

神沼三平太『千粒怪談 雑穢』№018

夕方に現れ、自分の噂を聞いた子供を追いかけるという老婆の怪異。逃げても家までついてきて、寝ている時胸の上に座って笑う。子供だけに見えて大人には見えないという。

18 37

〇欄干人:らんかんじん

神沼三平太『千粒怪談 雑穢』№015

ある人が子供の頃よく通っていた橋の欄干にはいつも白い人がずらりと並んでいて、何をするでもなく通行人を目で追っていた。中学生の頃、親に確認しても取り合ってもらえなかったが、弟だけは強くうなずいていたという。

14 28