「僕はこの風の中の枯葉と同じ…翻弄されて行く先も定まらない」などと女々しいことを言うこんな小僧がなぜ王太子なのだ、と冷めた目を向ける自分への自己嫌悪と苛立ちに胸をざわつかせている彼の傍らで王子の心を占めていたのは、昨夜父王から聞かされた彼の王位継承権の思いがけぬ文字数

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身分は違っても乳兄弟として育ち長じては全幅の信頼を置く側近だった彼が危険な国境警備兵として紛争地へ赴くと聞いて不安と焦燥にかられて真意をただそうにもこれまでになく素っ気ない態度を取られて悲しみがつのるまま日々は過ぎ、赴任の日に王子に出来ることは彼の後ろ姿を見送る文字数

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