その夜、守は「藤の宿」に泊まる事になった。

「部屋を用意するから、温泉にでも入ってちょうだい、、じゃないと、いいかげん臭いわよ」


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守が目を覚ますと古い漁船の船上だった。どうやって乗ったのか、そもそも誰の船なのかも解らないが、船酔いのせいなのか気分が悪く、どうでも良いことに思えた。
「守さん、あれがあなたの故郷よ」
視線の先に黒い島の影が浮かんでいたが、守は何も感じなかった。


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早苗を覆い包んでいた牡丹はすでに崩れ落ちて姿はなかった。そのかわりに床(とこ)一面に真っ赤な鮮血が広がり、、、それはまるで牡丹の花の様だった。塚原家に伝承される「憑物」が白い狐の様相ながらも「紅の牡丹」と呼ばれる由縁である。


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太腿から血しぶきが飛び散ると、彼女の文様のようなアザが鮮血に染まる。次第にそこが裂け目となって得体の知れない物が身体をまとわり付き、早苗の体はその中に埋もれていった。

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