"それ"はいとも容易く彼女の胸を貫いた。

「……か…は、」
苦しさに顔が歪む。嗚呼、勝てるはずなんてないことぐらい分かっていた。だけれど─
薄れゆく視界の中、最期の力を振り絞り、───────────。
手が力なく地面に落ちた。



和楽器副将は、これにて儚く散る。

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