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あめじろうさんのイラストまとめ


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樹の枝に小鳥が音符のように並んでいる。僕が窓を開けた瞬間、小鳥たちは飛び立ち、揺れた枝から雪の花弁が舞った。僕の後ろ手に隠し持ったずるさに気付いたのかもしれない。雪の降った後の世界はあまりにも浄化されているので、隠し事はすぐに見透かされてしまうのだろう。#140字小説 

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翼を失った僕は飛び立つことが出来ずに、冬に置き去りにされてしまった。地の果てからひたひたと押し寄せる冷気が、世界を凍てつかせる。世界が静止し圧倒的な静寂が訪れた瞬間、それは空から落ちて来た。白い羽根。僕の失った翼を覆うように、幾重にも降り積もる。#140字小説 

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風味なんていらない。ただ苦みだけがほしくて、僕はインスタントコーヒーの蓋を開ける。沸騰した湯にコーヒーの粉が溶け、漆黒の闇が湯気を立てた。水面に写る覇気のない僕の顔をかき消すように、スプーンでかき混ぜる。勝つべき相手は奴じゃない。自分に巣くうもの。#140字小説 

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灰色の空からとめどなく降る雪。音もなく静かに世界を覆う雪の美しさに、思わず見惚れてしまう。しかし、立ち尽くしていたら、たちまち僕らは雪に埋もれ凍てついてしまう。雪に足をとられても歩き続けなければならない。芯に灯る炎を絶やさぬままに。それが冬の掟。#140字小説 

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ウホ、ウホホ、ウホ(久しぶりにマンガ書いたよ)

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冬の朝、食卓に並んだスプーンは、ひときわ眩い。スプーンで朝陽をすくい、あたたかいスープに混ぜる。陽だまりのように優しい味わいに変わった。僕をこれまで目覚めさせたものは、悔しさや悲しさや怒りだった。でも、ようやく僕は、こんなスープで目覚められるようになったんだ。#140字小説

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鍋に入れた牛乳が、叶わなかった願いと共に、ふつふつと沸き上がった。生まれた膜をスプーンで弄び、雑音を消して行く。本当に聞くべき音はわずかしかない。その一つは、牛乳の沸き立つ音だ。傷は癒えなくたっていい。足を引きずりながらでもいい。忘れることが復讐。#140字小説
 

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雪の降り積もった校庭からは光が溢れていた。僕達は光の中に飛び込み、雪玉を作って投げ合った。たちまち僕達は無邪気だったあの頃に戻った。寒さで顔を真っ赤にした僕らは、愛想笑いを忘れて、本気で笑っている。口から吐き出される白い息は、もう、ため息なんかじゃない。#140字小説 

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築きあげたものは案外脆く、ため息で崩れてしまった。残されたのは瓦礫の山だけ。掘り起こすしかなかった。瓦礫は僕の身体を傷つけた。雨風が僕の体温を奪った。惨めな僕を笑う者もいた。ようやく瓦礫から見つけられたのは、泥にまみれて汚れている。それが全ての始まりだったんだ。#140字小説

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雪が積もったばかりのグラウンドには足跡一つない。友人とどちらが多く足跡をつけられるか競うことにする。雪は膝まで積もっていたので足を取られ何度も転んだ。雪だらけになって走り回った僕達。あの時は何も怖くなかった。例え迷子になっても足跡を辿って見つけられたから。#140字小説 

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