//=time() ?>
TVアニメ番最終回のサブタイトルは「世界の中心でアイを叫んだけもの」でしたわね。
「アイ」とは「I」であり、心象世界における自己の発見、肯定でしたわ。
しかし「アイ」を主張する叫びはそれを聞く「他者」なしには無意味なものですわ。
これはアダムの付属物として創造されたイヴ(エヴァ)では満たせないもので、リリスでなくてはいけないのです。
「I(アダム)」の成立のためには「YOU(リリス)」が「必要」。
これが「I NEED YOU」の意味だとわたくしは考えていますわ。
「個の最小単位」とは「I」ではありません。「個」とはその輪郭を認識するため、同じく輪郭を持った別の「個」を必要としますわ。「I AND YOU」が、個の最小単位なのです。
つまりリリスとは「I AM NOT YOU」
「他者」の象徴なのですわ。
それはシンジにとって、アスカが否定の象徴だったということ。
シンジとの同化を絶対に拒むアスカこそ、「I」に対する対等な「YOU」だったのですわ。
そのとき戻ってきたのがなぜシンジくんとアスカなのか。
それはアスカこそ構図上のリリスだからですわ。
聖書におけるリリスとは何者か、上で述べましたわね。
リリスとは、アダムと等しく作られ、アダムに対して対等を要求する者なのです。
しかし、LCLの海からATフィールドを持って戻ってきたのはシンジくんとアスカの二人だけでした。
二人だけと言えるのは、シンジくんがLCLの海に綾波レイの姿を幻視したことから分かりますわね。あそこに綾波レイを見たということは、全人類を見たということと同義なのです。
万人の中に万人が存在する状態、それはシンジくんにとって最も恐ろしい「他」の存在しない世界ですわ。
しかしシンジくんが自らの意思で「他」の存在する世界を選び取ったことで補完計画は失敗に終わります。
補完計画は必要条件を充たしたシンジくんのデストルドーを刺激し、全人類のATフィールドの崩壊を起こしましたわ。「愛する人の姿が迎えに現れる」あのシーンですわね。
「愛する人」がいない者には綾波レイの姿が現れます。万人に対する万人の象徴と取れますわね。
ATフィールドのATとは「絶対的恐怖」の略語。つまり個の境界線を喪うことは人間にとって最も恐ろしいことと言えますわね。
しかしその最も恐ろしいことに惹かれる衝動もまた存在しますわ。これを指してリビドーの反対語、デストルドーと呼びます。
人類補完計画の全容は、ATフィールド、つまり個の認知境界線を崩壊させることによって万人をLCLの中に同化し、万人の中に万人を顕在化させることで不完全な心を強制的に補完させることですわね。
I AM YOUの状態ですわ。