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貴方はオナガを信じて、穴の中に入ることにした。立ち上がると、オナガは驚異の跳躍力で貴方の頭の上に飛び乗った。
そうして穴の中に足を踏み入れる。じっとりと湿った空気が貴方を包み込んだ。灯りも無く真っ暗だが、とにかく前に進むしかない。頭上に感じるオナガの重みだけが支えだ。
貴方はオナガから離れ、自分の朝食を作ることにした。
…ふと鏡を見ると、背後に真っ黒い人影がへばりついていた。二つの眼球が、鏡越しに貴方をじっと見つめている。貴方は金縛りに遭ったかのように、その場に釘付けになった。影は口をぱくぱくと動かした。
「ミ、ツ、ケ、タ」
貴方はイチゴを再び与えることにした。オナガは目と目の間にシワを作った。昨日と同じ物は不満だと言いたいようだが、オナガは結局イチゴを食べて満足そうにしていた。
貴方は冷蔵庫から取り出したイチゴを一粒、オナガの前にそっと置いた。…次の瞬間、オナガはイチゴではなく、貴方の小指に齧りついた。思わずオナガを振り払う。指を見ると、わずかに血が滲んでいる。勢いよく振り払われたはずのオナガは特に気にした様子もなく、イチゴを飲み込んだ。
名前も決まったところで、改めてオナガを観察してみる。見た目は「目のついたスライム」としか言いようがないが、よく見ると上部が青紫色にほんのりと染まっている。貴方は「人間が暑さで溶けたらこうなるかもしれない」と思った。
相手は未知の生き物だが、こうも熱心に見つめられては、見捨てるのも罪悪感がある。手を差し出すと、その生き物は喜んで体を乗り上げてきた。その体表はとても滑らかで、心なしかひんやりしている。…猛暑日のアスファルトの上にいたのに?不思議に思ったが、ひとまず家に連れ帰ることにした。