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【19】
今年の夏も、もう直ぐ終わる。
そして、秋が訪れる。
一度去った季節も、新しく生まれ変わって必ずまたやって来る。
季節は巡る。
その思いも、魂も、決して消える事は無い。
春夏秋冬。
それは何時でも私達の中にーーーーー。
【12】
やがて。
子どもは無事に産声をあげた。
『あの子』は自身の子の無垢な姿を愛おしそうに見つめていた。時折、優しい声で子守唄を奏でていた。
光を失った眼と、音を忘れた声で。
しかし、それも長くは続かなかった。
【10】
「期待してるからね、未来の名医さん」
『任せとけ』
お互いに涙の跡が残る顔で笑い合いながら小指同士で誓った約束。
でも、その契りが叶う事は無かった。
【6】
今や世界でも屈指の名フルート奏者になったハルは、年中世界を飛び回り、孤児院や刑務所でのボランティア演奏会もしている様で……
そんな多忙な中でも『あの子』との約束は只の一度も違えた事が無いのである。
ハルの優しさと思い遣りには本当に頭が下がる。
【5】
四季っ娘の中で一番の跳ねっ返りだったフユも、今では成年実業家の妻として甲斐甲斐しく家庭を守る専業主婦だと言うのだから……世の中は分からない。
そう言えば曽ての恩師で、特にフユが熱烈に慕っていた結城梓先生から卒業記念にと無理やり奪った一張羅は……今も着ている。流石だわ。
【2】
毎年この時期になると私は『あの子』に会う為にココへ戻る。
生まれつき身体が弱く、この地を離れる事が適わなかった親友が待つこの地に。
共に起き、駆け、泳ぎ、食べ、また眠り、あっという間の1週間を終えると
『また来年に、必ず』
そう約束し、互いに泣きながら
このホームで別れた。
【1】
葵谷(あおいや)
そう書かれたプレートが掲げられている、あちこちの老朽化が激しい古びた駅のホームに1台の列車が足を止める。
開いた扉から吹き込んで来る熱風に顔をしかめながら故郷(ふるさと)の地に足を降ろす。
『ただいま』
私の名前はナツ。
今年も夏季休暇を利用し帰って来た。