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白いレース。憧れ、祈り。
「たとえきみが自身のレース編みにすぎないとしても」
──アンドレ・ブルトン 巖谷國士 訳「溶ける魚」
©Paul de Luna,©Oxana Mazur,©Anina Bird,©Magdalena Russocka
夢の解剖学
「≪自我≫とはおそらく、解体されれば夢になるものが、覚醒時のあいだとどまるように余儀なくされている状態である。」
──ポール・ヴァレリー
©Laura Makabresku,©Natalia Drepina,©Leslie Ann O'Dell,©Oxana Mazur
薔薇の名前は
僧院は高き圍ひをめぐらして「薔薇の名前は薔薇に問ふべし」
──多田智満子『遊星の人』
©Anna O.,©Slevin Aaron,©Kiss Andrea,©Adi Dekel
Underwater, White dress
「深い鮮烈な夢が身体を梳いて通るにまかせ、流れになびく水草になったように、オフィーリアの溺れる髪の毛になるがままに」
──エリザベス・ボウエン『愛の世界』
©Mira Nedyalkova,©Mariska Karto,©Högabo Photography,©Ilse Moore
夜歌う。
ひとりまたひとり幼い妖精を燃やす市あり夜と呼びたり
──佐藤弓生『薄い街』
絵:スラミス・ヴュルフィング (Sulamith Wülfing)
そのむかし
薔薇の棘が詩人を殺した
龕灯返しの天井からふりそそぐ花々が
ヘリオガバルスの客人を
香気のなかに埋め殺した
die of rose in aromatic pain……
やさしいびろうどの刺客よ
──多田智満子「薔薇」
©Dorota Gorecka,©Leonardo Basana,©Mira Nedyalkova,©Anna O.