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世界で最も清い水死体。 『若き殉教の娘』はポール・ドラローシュ (1797-1856)の作品。 あまりになめらかでドラマティックなシーンは、光輪や手を縛るロープのことを忘れさせてしまうほど。輝く身体からは純潔な美しさが溢れています。
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隠された狂気。 『Bathing hut』はジェームズ・アンソール(1860-1949)の作品。 静寂にみちた誰もいない浜辺。ただ、この静けさはむしろ潜在的な恐怖・危険を強調し、不安な空気はまるで波のように押し寄せるようです。
『Storm in the Mountains』はハドソン・リヴァー派の画家、アルバート・ビアスタット(1830-1902)の作品。 なんども激しく震える大気。 無言の大地は嵐のなか、強烈な荘厳さを誇示させているかのようです。
マルク・シャガール(1887-1985)『誕生日』。 「私たちの内面的な世界はすべてが現実なのです。おそらく目に見える世界以上にそうなのです」というシャガール。 あまりに劇的な悦び。それだけに、迫力と説得力にみちた名作です。
異様に引き延ばされた人びとが、うねりまくる『ラオコーン』。 トロイア戦争の有名な、このワンシーン。クセの強い、マニエリスム後期の巨匠、エル・グレコ(1541-1614)は、独自の世界観で人間の観念的な恐怖を、みごとに表現しています。
狂いそうな色彩で多くのひとを魅了する『ムランの聖母子』。ジャン・フーケ(1415-1481頃)がシャルル7世の愛妾アニェス・ソレルをモデルにして描いたともいわれていますが、天使はもちろん、蒼白の聖母子は異常なくらい幻想的で美しいです。