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監督・緊縛師・映画研究者。映画『縄文式』『AYAKOの退院』『石井輝男映画魂』『東陽片岡のルサンチマン』『にっぽりにっき』『懸想』等。著書「光と影 映画監督工藤栄一」「新東宝1947-1961」「大俳優丹波哲郎/ハードカバー版&文庫版」がワイズ出版から発売中!現在、新作映画『寂寞(せきばく)』を編集中!

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『妖星ゴラス』(62・本多猪四郎)は、製作費3億8千万円、撮影日数300日の超大作ながら、90分弱の上映時間(現在の感覚だと3時間越えは必須と思われる)に収めた東宝の英断により引き締まった力作に仕上がった。世界各国との国際協議シーンをコンパクトにまとめたのが成功した最大の要因。

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『踊らん哉』(37・マーク・サンドリッチ)はジョージ&アイラのガーシュウィン兄弟が楽曲初参加し新鮮な味付けがある。ダンスもコンクリート・ミキサーの動きにヒントを得たアステアのソロ・ダンスやふたりがローラー・スケートを履いて踊る”レッツ・コール・ザ・ホール・シング・オフ”等新機構あり。

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ガストン・ルルー原作の映画化『フロウ氏の犯罪』(36)はR・シオドマクのフランス亡命時代の代表作。コメディとミステリーの配分が手ごろで編集のテンポもいい。若々しいエドウィジュ・フイエールが中々魅力的だが、やはり国際強盗フロウ氏に扮するルイ・ジューヴェがその眼力と共に圧倒的な存在感。

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NYのナイトクラブの女給が暴力で牛耳るギャングと法廷で対決する『札つき女』(37・L・ベーコン)。女給のリーダー役のべティ・デイヴィスが圧倒的に素晴らしく彼女のための映画と言っていいくらいだ。この頃のボギーとしては珍しく彼女に味方する正義の検事役をそつなく演じているのも興味深い。

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『予審』(31)はロバート・ジオドマク(ローベルト・ジーオドマク名義)が独で撮った長編第3作目。舞台劇の映画化ゆえ動きは少ないがドアベルの音や判事アルベルト・バッサーマンが鳴らす鉄管の音などが効果的に使われている。ラストに意外な真犯人が判明するが伏線不足でいささか唐突感は否めず。

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『悪魔スヴェンガリ』(31・A・メイヨ)はジョン・バリモアのスヴェンガリの造形力にただ圧倒される。当時17歳のトリルビイ役マリオン・マーシュの美少女から大人の女への変化も見もの。スヴェンガリが息絶える寸前地獄までトリルビイの魂を連れて行く凄まじい執念の幕切れはプレコード時代故か。

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『恋愛準決勝戦』(51)はS・ドーネンの単独監督デビュー作。とにかくフレッド・アステアが素晴らしい!帽子掛けを相手に踊るシーン、ホテルの部屋で壁や天井を伝って踊る無重力ダンスなど優雅で切れ味のいいダンスはアステアの独壇場。だがジェーン・パウェルと兄妹というのはいささかツライ設定。

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『不在証明(アリバイ)なき殺人』(35・J・ホエール)は、ビリングトップは警部役エドワード・アーノルドだが実質主役は夫婦役ロバート・ヤング&コンスタンス・カミングスで、夫婦の素人探偵ぶりは明らかにMGMの『影なき男』シリーズを意識したもの。被害者夫人のサリー・アイラースが美しい。

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愚作・駄作・凡作の山と揶揄されるエルヴィス・プレスリー映画の数々の中で群を抜く出来栄えの『ラスベガス万才』(63・G・シドニー)。成功の要因は何と言っても共演のアン=マーグレットに尽きる。セクシーでダイナミックなダンスの説得力はさすがのエルヴィスをも圧倒する迫力に満ち溢れている。

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無声時代より何度も映画化されているアレクサンドル・デュマ原作による初のカラー版『三銃士』(48・G・シドニー)。ダルタニアン役のジーン・ケリーの運動神経抜群の剣戟シーンは、ワイヤーアクションを見慣れた現代人には新鮮かもしれん。当時、人気絶頂だったラナ・ターナーの悪女役も色っぽい。

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