お前らがここを出るときは、俺が死ぬときだ。
アリス・ウォーカー。こいつのことはよく分からない。本人もその騎士様もあまり関わらせてくれなかったからだ。いつもビクビクしていた。まあこいつは自分の意思に反して連れてこられているから仕方ない。こいつにとってここが、ただ苦痛なだけの場所で終わらなかったことを信じている。
桜花深夜。アリスを中心に世界が回っているやつだった。そのアリスが俺を好いてないもんだから、いつもやたら警戒してきた。よく早とちりをするが、自分が間違っていたと分かればすぐに謝罪ができるしっかりしたやつだった。アリスに依存していたが、徐々にそれ以外の大切なものも見つけたようだった。
一色架乎。真面目なやつだった。面倒な仕事はこいつに任せればだいたい完璧かつ迅速に返ってきた。何度しっかりしろと怒られたか分からない。こいつのことは一色さんに頼まれていたんだ。あの人の娘なだけある、正義感の強さはそっくりだった。こいつならきっとこの先どこへ行っても大丈夫だろう。
シェリー=フェルネス。こいつもいたずら好きなやつだった。駒枝と薫とこいつでだいたいのいたずらは構成されている。酒も好きだったのでときどき良い酒が手に入ったときは教えてやっていた。一人でいるのは嫌いなようで、すぐ人にいたずらを仕掛けるのも構ってもらいたいからなのかもしれない。
三城凛堂。あまり干渉してこないやつだった。俺のこともきっと嫌いだっただろう。周囲の人間との関わりがあまり多くなく、看守として働かせても面倒事が少なそうだったため使いやすいと思い採用したが、ここで過ごすうちにいろんな大切なものを見つけたようだった。お前の代わりなんていないんだよ。
駒枝佐而。へらへらした掴めないやつだった。うちで起きたいたずらの犯人は半分近くがこいつの仕業だ。罪人でも看守でも関係なく接していたため、誰とでもそれなりに仲が良かった。いじめっ子気質なわりにはよく気の回るタイプで、人の心配をしたりちょっとした変化にも気がついたりするやつだった。
杉本孝也。真面目で素直なやつだった。こいつは面白い。まずここに来た経緯から異彩を放っている。過去に苦しいことがあったやつが多いので、少しくらい純粋で真っ直ぐすぎるような人間もいた方がいいと思い、ダメ元でキャッチセールスをしてみたら釣れた。いたずら好きたちによく遊ばれている。
イブ・アルフォード。本当によく食うやつだった。食べていないときは基本的に眠そうにしていた。他の誰が何をしていようとこいつの周りにはこいつの時間が流れていたように思う。意に反して能力を使ってしまったことによりひどく苦しんでいた。過去を変えてやれないのを苦しく思うくらいだった。
柊千尋。なかなか面白いやつだった。直接関わることは少なかったが、他のやつとのやり取りなどは見ていて飽きなかった。過去のことで自ら罪を償いに来たやつだが、話を聞けばどう考えても正当防衛だった。自分を許して幸せになってほしかった。咄嗟のときでも能力を調整できるよう練習させたつもりだ。
