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「忘れなくていい。好きでいてもいい。だから俺を選びなよ」
握られた手を引かれ、そのままジェルミア王子の胸の中にすっぽりと収まった。胸から聞こえる心音が優しく響いている。
「私……。どうして良いか分からないんです……」
「……大丈夫、俺が支えてあげる」
それなのにエリー王女はそれに応えることが出来なかった。
王の資質さえあれば、好きでもない相手を選んでもいいのだろうか。
私の心が他にあるというのに、リリュートはそれでも嬉しいのだろうか。
考えれば考えるほど分からない。
「エリーちゃん、今度は彼がお相手なの?」
パーティーが終わり、リリュートの待つ部屋へ向かう廊下でジェルミア王子に問われた。表情は固く、どこか責めているような口調である。
「ち、違います。そういうわけじゃないのですが……」
「ふ~ん。じゃあさ、彼と話が終わったら俺と会ってよ」
おばちゃんは何も聞かず優しく抱き締め、頭を撫でた。
温かい……。
ぬくもりを感じながらエリー王女は瞳を閉じた。
私は生きている。
そして生きていく……。
私はこの国の王女なのだ。
「待って!! 嫌ですっ!! レイは何処にも連れて行きません!!」
エリー王女はレイにしがみついた。
セロードがアランに合図を送ると、アランはエリー王女をレイから離そうと肩に手を置く。
「エリー様こちらへ」
「アラン、離して!! 離しなさいっ!! 嫌です!! 連れて行かないで!!」
「私の願いは……アトラス王国のエリー王女の排除である」
「っ!! ハーネイス様!! 悪魔などにそのような願いを願ってはなりません!! 今すぐお取り消しを!!」
レイが慌ててバフォールに雷の魔法を放ち、バフォールに命中させた。影がちりじりに散る。
"……ソノネガイカナエヨウ……"
炎が揺らめく篝火。赤く灯された舞台の上を、演舞のように華麗に舞うレイの動きはギルの目を奪っていた。
まるで、閉ざされた世界に舞い降りた翼の生えた天使。
「光の加護……未来への導き……」
思わず天を仰ぎ、瞳を閉じる。
聖職者であるギルは光の神へ祈りを捧げた。
ハーネイスの体は震え、血流が極限まで増加する。
「くっくっくっくっく……。どこまでも私を否定するのか」
体の奥底から込み上げてくる笑いの中で、ハーネイスの瞳は怪しい光を放った。
「シトラル、お前が悪いのだ」
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