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はじめて会ったフウセンカズラのトンネルに、あの子を埋めてあげました。
目が覚めるようなセミの鳴き声、
あの子の細くて高い声、
ころころとした笑い声。
これはビンに入れなかった、
そぼちゃんだけの夏の音です。
#そぼろとゆる夏
ビンは夕日のきらきらに包まれて、
とうとう見えなくなりました。
隣を見ると、もうあの子の姿は
ありません。
ちいさなセミが1匹、力尽きていました。
#そぼろとゆる夏
「そぼちゃん、一緒に夏の音を探してくれてありがとう。」
ビンはみるみる遠くへいきます。
ずいぶん長い間、ふたりで海を眺めていました。夕暮れ近い波の音は少しさみしくて、夏の終わりを感じるのでした。
#そぼろとゆる夏
その子はビンをそっと波に乗せました。
「こうして流して、また来年に拾われたとき、ビンから音があふれて夏がはじまる。そしてまたその年の音を集める。そうやって夏を繋いでいくんだよ。」
#そぼろとゆる夏
そぼちゃんはさっき拾ったガラスのかけらを取り出し、ビンに入れました。
ビンを振ると、からころと鳴りました。
すてきな夏の音でした。
#そぼろとゆる夏