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ひかりは、言葉も生き物のように動いてる感じがした。
「うん、魂はおどろおどろしい。
何かにしがみついてる感じ。
そう言えば、この世って皆何かにしがみついてる感じ。
何かに踊らされてる感じ。
何か大切なものを見失ってる感じ。
恐れないで色んなものを手放して、
もっと楽に生きていいと思う」
空が、迷子になっていた幼子がお母さんを見つけたように、
自然に涙を流した。
「オレ、量子力学とかで魂を理解しようとしてたけど、違うかもしれない。
ひかりが言うように、この世という目に見えるものに囚われていたんだ。
魂は理解するんじゃなくて、気配を感じるものなんだ。
ただ、在るんだ」
ひかりが駅に行く途中の、
迷路になっている住宅街の中の道路に、
ぽつんと聳え立つ四丁目の松の木の妖精ボックリさんの声がするので、
ふり向くとボックリさんはクスクマさんの隣に、
日向でまどろむネコのような自然さをまといながら座っていて、
ひかりに返事をするように答えた。
「それが、その涙が愛です」
と、妖精のキラリさんが皆を包むように話続けた。
「空くんとまもるくんがお互いを思いやる涙も、ひかりさんとルナさんがいとおしむ涙も愛です。
涙は、命が、愛という波動が、大きくふるえる時のしずくです」
この鎮守の森のカフェではただひとり人間の大人のノックさんが、しみじみがこぼれそうに言った。
「本当にそうですね、人はこの世に来て
そのぽっかり空いた心の穴にのどの渇きを癒す様に宝石や車など色んな物で満たそうとしても、
また憎しみや嫉妬という負の感情を入れても、ただ空しいだけです」
ひかりもタムタムに聞きたかったが、心地よさそうに眠っているタムタムを起こす者は、ここにはいなかった。
「愛があればとか人類愛とか良く使うのに、分かってるようで説明できないよね。ノックさん教えてください」
ひかりは、元英語教師のノックさんなら、すらすら答えてくれると思った。
ねばならない、という幻の基準から解き放されて人それぞれを認めあい許し合えば争いごとなんか起きへん。四丁目の松の木の妖精のボックリさんが言うてはったように今は皆がヒーローなんや。皆が認められ許され愛されてるんや、何か大きなものに。時代は幻の基準から愛の方へ、ゆったり動いてるんや」
タムタムは、鼻をなめてからまた話始めた。
「それに、ひかりちゃんが気づいたように皆の魂が見えない糸で宇宙の素と繋がっていて、そのお互い繋がってる魂に悪口を言うことは自分に悪口を言ってることやし、それに繋がってる宇宙の素に不平不満を言ってんのや。そやから今ここはいつも人に優しくや」