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『少女外道』皆川博子
美しい情景描写に紛れて驚くようなことが淡々と書かれているので、一瞬なにが起こったのか分からなくなりページを戻して読み返す、ということを何度か繰り返した。そして読後のなんともいえない余韻。
『テスカトリポカ』佐藤究
メキシコの麻薬密売人バルミロがジャカルタでの潜伏を経て川崎に流れ着き、臓器ブローカー、闇医師、バルミロに鍛えられた殺し屋たちと繰り広げる怖恐ろしくて切ない物語。
超絶おもしろいです。
『友だち』シーグリッド・ヌーネス
この本は物語がまっすぐに進行しない。生身の人間のふわふわとした思考の流れがそのまま記録されているようで、小説を読んでいるというよりも、プライベートな手記を覗き見ているような感じがした。
『A子さんの恋人』近藤聡乃
まわりが気になり一歩踏み出せない人、傍観する人、自分に失望して立ちすくむ人、努力で道を切り開く人、ただ淡々と歩く人。みんながそれぞれの自分を獲得して前へ進んでいく姿が尊くて、こんなん泣いてしまうよ。
『ブルーピリオド』山口つばさ
高校生の矢口八虎くんが絵を描くことに目覚め、藝大を目指すところから始まる漫画。
10代の八虎くんと同じことで悩み同じ言葉でハッとさせられるたび、自分どんだけ周回遅れなんだ…と思う。
『優しい暴力の時代』チョン・イヒョン
暴力という強い言葉から想起するような苛烈な出来事は(主人公の身には)起こらないけど、小さな胸の痛みやほんの少しの居心地の悪さや行き場のないやるせなさが紛れ込んでいて、じわじわ心をしめつけてくる。
『ゲンロン戦記』
頭の中で思い描いていた理想と、実感を伴って語られる現実のどちらにも激しく共感できたし、実体験を経て導き出された結論も腑に落ちて、読後は爽快な気分になった。