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「足、大丈夫⁉
………!
あ、ごめんっ!」
「その子」は我に返ると
急に慌てふためいて
その様子がおかしくて
可愛くも見えて
「その人」は笑いだしました
「大丈夫
でも肩を貸して」
「その子」は、泣き顔を
見られても
気にする様子をみせず
ただただぽろぽろと大粒の
涙がこぼれるまま
焦点の合わない瞳を
彷徨わせました
不規則な呼吸の音だけが響き
「その人」がそっと
涙を拭って言いました
「あのね、足をひねって
立てなくなったの
おどかすつもりじゃ
無かったんだけど」
迷いながら近づくと
「その人」は急に顔を上げて
笑顔を見せてくれました
その途端、世界には鮮やかな
色彩が戻ってきました
「静かに、脅かさないで
ゆっくり近づいて」
「その人」の優しい声がして
指差す方を見ると、そこには
一匹のアシナガバチがいました
行きたい森がある
それは絶対に叶わない願い
自由に歩き回って、森に
抱かれるのは、きっと
とても心地が良いだろう
でも私の肺がもつのは
森の入り口まで
だから私は、紙の中の、
私だけの森にしか行けない
そうして、あの日のことが
夢だったように思えて
日常生活に戻りつつある頃
ふと木陰にポルの
姿を見たのです
きらきらした光の中で
はっきりと目が合った
と、思った次の瞬間には
もう姿はありませんでした
帰る道すがら、なんだか
うきうきした気分が
湧き上がってきて
思わず駆け出してしまうのを
抑えられなくなった「その子」は
走りながら帰りました
まるで秘密の庭の鍵を
貰ったような気分に
なっていたのです
『まるで魔法使いみたいだ』
子供の頃に
読んだお話の魔女を
思い出していました