【短編小説】#読了
綿矢りさ「蹴りたい背中」

クラスで疎外されているハツは、同級生のにな川の部屋に招待された。
「オリチャンて誰?」
「おれが読んでた雑誌に載ってたモデル」
にな川は「オリチャンに会ったことのある人」と一緒にいるのを喜び……
タイトル回収の場面、爽快!

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綿矢りさ「蹴りたい背中」

周りを蔑み孤独を謳歌しつつも、人に惹かれ繋がりを断ち切れない主人公の姿を描く本作。瑞々しい感性で、女子高生の繊細な感情の機微を丁寧に掬い上げ、ぐちゃぐちゃで痛々しい心情を鮮烈に描く一冊。

○さびしさは鳴る。耳が痛くなるほど高く澄んだ鈴の音で鳴り響いて◯

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綿矢りさの最年少芥川賞受賞作『蹴りたい背中』は「さびしさは鳴る」で始まる。モデルのオリチャンを、今の言葉でいうと「推す」男子の「にな川」。ヒロインは漢字の「蜷」が頭の中で書けないからずっと「にな川」と表記される。その字面の据わりのわるさ、不安定感、言語感覚にうなった私だった。

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宇佐美りんさんの新作「推し、燃ゆ」を読んで次回の芥川賞受賞作だと確信した。ここ数年読んだ現代文学の中でも群を抜いて引き込まれた。冒頭の〝推しが燃えた。〟の一文は、綿谷りささんの17年前の傑作「蹴りたい背中」書き出し〝さびしさは鳴る。〟を思い出させる。日本語の美しさを改めて感じた。

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面白かった本
「蹴りたい背中」
さびしさは鳴る。という出だし。周りの人達に決して自分を合わせないちょっと冷めた女の子の物語。一人で感じるさびしさより、人と一緒にいて感じるさびしさのほうがやるせない。また、他人の世界を自分が壊したくなる衝動の表現。肯定はしないけど、わかるなぁ。

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