及川由美 漫画家です!

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カラマーゾフの兄弟

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「すてきよ。
あたし時々、その子をはりつけにしたのはあたし自身なんだって考えてみるの。
子供がぶら下がって呻いているのに、あたしはその正面に坐って、パイナップルの砂糖漬を食べるんだわ。
あたし、パイナップルの砂糖漬が大好きなんですもの。
あなたも好き?」
カラマーゾフの兄弟

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「悪事を憎むなんてだれもが言うけれど、内心ではだれだって好きなんだわ」
「相変らずよくない本を読んでるんですね?」
「読んでいるわ。ママが読んで、枕の下に隠しておくから、失敬してくるの」
「自分を台なしにするようなことをして、よく気が咎めませんね?」
カラマーゾフの兄弟

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「そうよ!あたしの考えをぴたりと言ってくださったわ。人間は犯罪が好きなのよ。だれだって好きなんだわ。そういう《瞬間》があるどころか、いつだって好きなのよ。ねえ、このことになると、まるでその昔みんなで嘘をつこうと申し合わせて、それ以来ずっと嘘をついているみたいね」カラマーゾフの兄弟

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「ああ、あなたって大好き。信じますよ、なんて言うんだもの。あなたって全然、まるきり嘘がつけないのね。でも、ひょっとしたら、あなたをからかうために、わざとあたしがこんなことを言っていると、思っているのかもしれないわね?」
「いいえ、思ってませんよ…」カラマーゾフの兄弟

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「そうだな。何か立派なものを踏みにじりたい、でなければあなたの言ったように、火をつけてみたいという欲求でしょうね。これも往々にしてあるもんですよ」
「だって、あたしは口で言うだけじゃなく、ほんとにやってみせるわ」
「信じますよ」
カラマーゾフの兄弟

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「あなたは悪いことと良いことを取り違えているんです。一時的な危機ですよ。これは、ことによると、以前の病気のせいかもしれませんね」
「やっぱりあたしを見くびっているのね!あたしはただ良いことをしたくないだけ。あたしは悪いことをしたいのよ。病気なんか全然関係ないわ」
カラマーゾフの兄弟

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「なぜ?十二かそこらの年で、何かを燃やしたくてたまらずに、放火する子供だっていますからね。一種の病気ですよ」
「嘘よ、嘘、そういう子供がいたってかまわないけれど、あたしが言うのはそのことじゃないわ」
カラマーゾフの兄弟

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「それこそあたしの望むところだわ。あたしが行って裁きを受けたら、あたし、だしぬけにみんなを面と向って笑ってやるわ。あたし、家に火をつけたくてたまらないの、アリョーシャ、この家に。あたしの言うことをちっとも真に受けてくれないのね?」
カラマーゾフの兄弟

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もしあたしが貧乏になったら、だれかを殺すわ、金持になっても殺すかもしれない。ぼんやりしているのなんていやですもの!あの人、こまみたいなもんだわ。精いっぱいまわして、鞭でびゅんびゅんたたいてやるといいのよ。あなた、あたしの相手なんかしているのが恥ずかしくないの?
カラマーゾフの兄弟

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「ええ、でたらめは大好き。あたしいつも家に火をつけてみたいと思っているのよ。よく想像するわ、こっそり忍びよって火をつけるの。みんなが消しにかかるけど、火は燃えさかるばかり。あたしは知っているのに、黙っているの。ああ、ばからしい!それに、なんて退屈なのかしら!」
カラマーゾフの兄弟

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「長いこと、誰にも知られずに悪いことを、こっそり試しているうちに、突然それがみんなにばれるの。みんなが私を取り囲んで指をさすの、でも私は、みんなを平気で見返している。これって、とても気持ちいいの。どうしてこんなに気持ちいいのかしら、アリョーシャ?」
カラマーゾフの兄弟

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「どうして悪いことがしたいんです?」
「どこにも何ひとつ残らないようにするためよ。ああ、何もかもが消えてなくなったら、どんなにせいせいするかしら!ねえ、アリョーシャ、わたし、時々ね、あらゆる悪いことを片っ端から試してみたくなるの、汚らしいことならなんでもよ」
カラマーゾフの兄弟

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「あなたは悪いことと良いことを取り違えているんです。一時的な危機ですよ。これは、ことによると、以前の病気のせいかもしれませんね」
「やっぱりあたしを見くびっているのね!あたしはただ良いことをしたくないだけ。あたしは悪いことをしたいのよ。病気なんか全然関係ないわ」
カラマーゾフの兄弟

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「なぜ?十二かそこらの年で、何かを燃やしたくてたまらずに、放火する子供だっていますからね。一種の病気ですよ」
「嘘よ、嘘、そういう子供がいたってかまわないけれど、あたしが言うのはそのことじゃないわ」
カラマーゾフの兄弟

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「それこそあたしの望むところだわ。あたしが行って裁きを受けたら、あたし、だしぬけにみんなを面と向って笑ってやるわ。あたし、家に火をつけたくてたまらないの、アリョーシャ、この家に。あたしの言うことをちっとも真に受けてくれないのね?」
カラマーゾフの兄弟

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もしあたしが貧乏になったら、だれかを殺すわ、金持になっても殺すかもしれない。ぼんやりしているのなんていやですもの!あの人、こまみたいなもんだわ。精いっぱいまわして、鞭でびゅんびゅんたたいてやるといいのよ。あなた、あたしの相手なんかしているのが恥ずかしくないの?
カラマーゾフの兄弟

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「ええ、でたらめは大好き。あたしいつも家に火をつけてみたいと思っているのよ。よく想像するわ、こっそり忍びよって火をつけるの。みんなが消しにかかるけど、火は燃えさかるばかり。あたしは知っているのに、黙っているの。ああ、ばからしい!それに、なんて退屈なのかしら!」
カラマーゾフの兄弟

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