「行くってどこに?」
「そうだな……」
カルディアナは上を見上げると、暗い夜空と黎明の明かりが半々になった空の中間、北を指差しながら宣言する
「天翔る大河の、向こう側へ!」
カータは目を輝かせながら大きく頷いた
「うん、行こう!」

3巻 第九章 星降る眷属の宴 5節

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もうすっかり顔も思い出せなくなっていたその人物こそ、彼の義理の母親、初代女皇パトリシアだったのである
これ以上の舞台が他にあるだろうか
父は、最高の舞台を自分に用意してくれたのだ
カルディアナは歓喜に打ち震え、涙を流していた

3巻 第九章 星降る眷属の宴 4節

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少女は天使のような悪魔の前に跪き、祈りを捧げている
朦朧とした意識の中で、エルドラナはその少女がやろうとしている行為を強く肯定した
この世界は争いが絶えず、悪意に満ちていた。このような醜い世界など、女神に見放されて然るべきなのだ

3巻 第九章 星降る眷属の宴 3節

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シーリーンは深菫色の瞳をエルドラナに向けながら宣言する
「誰の目から見ても正しい正義など存在しない。故に、本当に正しいかどうかは、この際関係ない。重要なのは、より多くの人間に、自分こそが正しいと信じ込ませる事なのだ!」

3巻 第九章 星降る眷属の宴 3節

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「おや、このような場所に居たのだな、シェヘラザード。いいえ、アイシャと言ったか? それとも、断罪の執行者と呼ぶべきか?」
三人の女達は、ゆっくりと降下していく環の形状をした回廊で対峙し、それぞれ皮肉のような軽口を叩き合っている

3巻 第九章 星降る眷属の宴 2節

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カルディアナ戦記
1巻『月の中で見た夢』
2巻『天翔る大河を越えて』
3巻『星降る眷属の宴』
上記3冊を改版しました
(主な改版内容)
・一部の地図の差し替え
・加筆修正
・語句の誤りを修正

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