○赤蝋燭:あかろうそく

神沼三平太『千粒怪談 雑穢』№064

家の前の砂利道で遊んでいると、急に夜のように暗くなった。驚いていると人の背丈ほどもある火のついた赤い蝋燭が列をなしてやってきた。母を呼んで玄関の扉を叩いたが誰も出てこず、泣き叫んでしまったという。

18 38

○ストンストン

神沼三平太『千粒怪談 雑穢』№047

ある小学校でのこと。女生徒が本を読んでいると男の子の顔が机の上に乗っている。不思議に思っていると、上から同じ顔がストンストンと降ってきて積み重なり、天井まで届く顔の壁になった。女生徒は驚いて走って逃げたという。

21 62

○黒二人:くろふたり

神沼三平太『千粒怪談 雑穢』№036

横浜市北端。ある人が子供の頃、某私鉄の駅のそばで道に迷うと、路地の向こうからやってくるという真っ黒な2人連れに何度も遭遇した。何をするわけではないが、顔を覗き込んでも真っ暗で表情がうかがえず、恐ろしかったという。

17 43

○ 眼バルーン:め‐

神沼三平太『千粒怪談 雑穢』№032

ある人が小学生の時のこと。友人の家へ向かう途中、ビルの4階くらいの高さに大きな黒い球体が浮かんでいるのが見えた。アドバルーンかと思っていると、不意に大きな眼を見開いて迫って来たので、泣きながら逃げたという。

32 65

○杖つきババア:つえ‐

神沼三平太『千粒怪談 雑穢』№018

夕方に現れ、自分の噂を聞いた子供を追いかけるという老婆の怪異。逃げても家までついてきて、寝ている時胸の上に座って笑う。子供だけに見えて大人には見えないという。

18 37

○トマト落とし:‐お‐

神沼三平太『千粒怪談 雑穢』№017

ある男性が夜道を歩いていると、上空から何かが落ちてきて、パシャア、という音ともに飛散した。驚いて見上げると真っ暗な空からもう一つ落ちて来て破裂した。翌日確かめると完熟したトマトが破裂した後がいくつも残っていたという。

25 60

〇欄干人:らんかんじん

神沼三平太『千粒怪談 雑穢』№015

ある人が子供の頃よく通っていた橋の欄干にはいつも白い人がずらりと並んでいて、何をするでもなく通行人を目で追っていた。中学生の頃、親に確認しても取り合ってもらえなかったが、弟だけは強くうなずいていたという。

14 28

五月末に「千粒怪談 雑穢」という書籍を出版させていただきました。三行の怪談が千話収録されている、あまり類を見ない本です。相当マニアックなので、多くは売れないだろうと著者自身も思っていますが、どうか出版社に損をさせない程度には売れてほしいと思う次第です。https://t.co/ALwBMynVDN

12 20

これ一冊ちゃんと読み込むと結構時間掛かりますよ。短くても実話怪談千話分ですからね。「千粒怪談 雑穢」。いろいろ仕掛けを施してあります。どうぞよろしくお願いします。

16 55

そして雑穢本の表紙を解禁! かっこいい!

57 160