そういえば昔は花が好きだったことを思い出した。ちょうどあなたとおなじくらいの頃に。お花の似合うのは僕じゃなかったから、すっかり忘れていた。ねえ、イオ。僕、あなたのことをちゃんと見たことがあったろうか。

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巡礼から逸れたこの道には、今までのどの聖地よりも意味があると思えた。ねえ、イオ。命以上に重たいものがどこにあるってんだろう。

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無理だとか嫌だとか、あなたは言えないんでしょう。僕はそれを知ってる。ねえ、イオ。こういう大人にだけはなっちゃだめよ。

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ねえ、イオ。ひとを嫌いになったことってある? 僕はあるよ。

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わかってる、わかってる。叶うってんなら僕は最初から生まれてなんかないものね。

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面倒ごとは全部こっちで引き受けようと思ってたのにね。不安な顔ばっかりさせてしまっている。


末尾8:震えと痺れ

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一度だけでいい、ひとを手にかけてみたかったの。〝 わたし〟から離れて自分のことがよく見えるはずでしょう? どう? 人間の命がミルクの瓶よりもっとずっと軽いとわかっただけだ。

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そうしてあなたはどこへ向かうのでしょうね。

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ここまで小さな子を見て、そんなふうにはとても思えないじゃないか。

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