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「わたし、ちょっと楽しい……」
「流れによっては、春珂をすごく傷つけるかもしれないしけど」
「でも……やっぱりうれしいんだ。色んなことを気にせず、わたしたちを見てもらえるのが。矢野くんの本心から選んでもらえるのが」
「生まれて初めて思うかも。もっとわたし、かわいくありたい……」
「――やっぱり、選んでください」
「――どっちを好きなのか。気持ちを確かめてほしいです」
これから、二人がどうなるかわからない。
けど、気持ちに嘘をついて、ぬるま湯に浸ったままでいる。
それだけは、きっと間違いなんだろう。
決めるときが、来た――。
「わかった、選ぶよ――」
【第5巻了】
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MEMORY
『三角の距離は限りないゼロ5』
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最終巻発売まであと3⃣日!
『――同じだけ、わたしたちを大切にして』
『――同じだけ、わたしたちを好きになって』
矢野と観光地を回り、刺激を与えようとする秋玻・春珂。
けど矢野は、二人がなにか無理をしているように見えて――。
その時、矢野の中である『衝動』が生まれる。
「なにか……言いたいこと、我慢してるんじゃないのか?」
二人に無理なんてさせたくない。
そのために――なにかしなくちゃいけない。
秋玻と別れてから一ヶ月。
季節は十一月となり、修学旅行が近づいていた。
だがあれ以来――
「……おはよう、矢野くん」
「……矢野、くん?」
「……」
矢野はずっと上の空で、覇気をなくしてしまった様子だった。
文化祭当日。
出し物を見て回る矢野と秋玻。
そして共同ステージの時間が近づいてきたが……。
「……いません」
「待機している人が……いません」
矢野を諦めまいと、アピールを始める春珂。
でも、それは予想以上に明け透けで……。
「この中の服だったら、どれが好き? どれを着てたら、好きかも!ってなりそう?」
「矢野くんが好きな小説なら、チャレンジしてみようかな」
「やらしー。転んだのを口実にして、パンツ見ようとするなんて」
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MEMORY
『三角の距離は限りないゼロ3』
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最終巻発売まであと5⃣日!
「――矢野くんが好きなの!」
「――ねえ、好き! 大好き!」
「――わたしと付き合って!」
「……だから、わたしと、付き合ってください」
それは、一か月前の告白の返事で。
「……なにか、欲しい」
「その……わたしと矢野くんが……恋人同士になったって、実感できる物……」
数十秒ほど黙ってから、秋玻は消え入りそうな声で言った。
「……キスしたい」