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本当にガレージだったらしい。
「屋敷も空き部屋が多い上、我々が戦場に出る以上管理はばあや任せだ。本格的な清掃は偶に業者を呼んで庭と共に行う等正直持て余しているが……やはり生家ゆえに思い入れがあるからな。
それに、EXMを扱ったりストラーレの運動を考えると広い敷地は都合が良い」
(続)
「お母さんも貴族じゃない、普通の人だったんだって」
とリィナ。
「だから、大貴族や血統主義の者から見れば我が家などえせ貴族もいいところであろうさ」
そうクルストさんが続ける。
「蔵もEXMを格納しておくだけのもので、本格的に整備などが必要なら然るべき施設に出す必要があるしな」
(続)
「……ともかく、ルーズランス家はあくまで貴族としては末席で、基本的に地位を高める気もなかった。
一応そう言ったことを目論んだ当主もいたのか、ある程度の敷地や屋敷と呼べる程度の家屋があるが、私が物心ついた頃には両親と爺、それにばあやしか住んでいなかったよ」
(続)
「わたしもお披露目含めて何度か付き合いで参加したぐらいだけど、あまり馴染めなかったなぁ」
「爺やばあやは立派なレディだったと褒めていたがな。私などは大抵任務にかこつけて――いや、何でもない」
リィナが微妙に恨めしげな視線を向けているのに気付いて、クルストさんが露骨に目を逸らす。
(続)
「確かに貴族には数えられるが、その位は最下級のもの。一応社交界に参加することも許されるから、もし貴族としての地位を高めたければ、それこそ領主や、旧い血筋の大貴族と縁を結ぶ必要がある。
……歴代の当主の殆どは権力など興味が無かったようだが」
私を含めてな、と苦笑交じりに続ける。
(続)
頭に「?」マークを浮かべた僕を横目で見て、クルストさんが嘆息する。
「……お願いします」
「そも、騎士とは何らかの功績を挙げた者に与えられる一種の称号だ。
ルーズランス家の場合は代々軍人の家系でな、数代前の当主が戦場で武勲をたてた時に騎士に叙せられたと聞いている」
(続)
隣からリィナが問いかけてくる。
「いや、貴族ってことは領主様でしょ?その妹なんだから――」
「私は領主ではない。ただの騎士だ」
運転席からクルストさんが口を挟んでくる。ハークさん達は自分の機体のキャリアに乗っていて、ここには3人だけだ。
「え~っ、と?」
「……説明が要るようだな」
(続)
#30MM幕間
くくるびたを降りた僕達は、EXMキャリアー(下船前の会話でそんな気はしていたが、これもクルストさんの私物だった)でルーズランス邸へと向かった。
郊外にあるとのことで、大型の車両でも移動は比較的スムーズだった。
「……リィナって、凄いお嬢様だったんだ」
「どうしたの急に?」
(続)