//=time() ?>
「好き、なんだ」
「……ッ!」
「君の笑顔が好きだ。君の声が、君の言ってくれる"お帰りなさい"が好きだ。君を守りたい、君と一緒に居たい。
僕は、君が…――ッ!」(続)
「違うッ!」
痛みも忘れて、声を張り上げる。
「君は、リィナは、敵じゃないッ!たとえバイロン人でも。"蒼騎士"の妹でもッ!だって、僕は――……」
視界が滲む。このままでは、リィナがいなくなってしまう。その恐怖に、涙が溢れる。
そんなのは嫌だ。だって、自分は、彼女のことが――(続)
「だから、わたしは、家に帰るだけなの……ごめんね?わたし、やっぱりトオルの"敵"だった」
そう言って、申し訳なさそうに微笑む。
「違、う」
握った手に力を込める。
「君は、敵じゃ…ない」
「でも、わたしの兄さんが、トオルを傷付けてしまった。それに料理長は、わたしのせいで…だから――」(続)
「わたし、思い出したの。あのEXM…蒼鎗のパイロットは、クルスト・ルーズランス。バイロンの"蒼騎士(ペイルライダー)"、わたしの――ユーラリィナ・ルーズランスの、たった一人の兄。
両親が死んでから10年、わたしをずっと守り、育ててくれた……わたしを大切にしてくれる、わたしの、大切な人」(続)
不意に、腕を掴まれる。驚いて振り向くと、血に濡れた少年と、目が合った。
「リィ、ナ……行っちゃ……だ」
酷い怪我。早く手当てをしなくては……"敵"がここにいては、それもままならないだろう。
「トオル、じっとしていて。大丈夫だよ……"敵"は、すぐいなくなるから」(続)
「帰ろう」
そう言って目の前のEXM――蒼鎗が、手を差し伸べてくる。
今なら分かる。トオルが戦った相手が、"誰"なのか。"彼"が、自分がいなくなった時どれほど心配したか、どれほど悲しんだか。
今なら分かる――分かってしまう。自分の"兄"は、トオルの"敵"なのだ、と。
「…分かり、まし――ッ!」(続)
「リィナ、済まない。知らぬこととはいえ、お前の恩人を傷付けてしまった……もう、しない。我々は、すぐに退く」
弐式のマニピュレーターを、妹へ伸ばす。まるで、縋るように。
「一緒に、帰ろう。リィナ……バイロンに、お前の居るべき場所に。その方が、お前は安全だ。
私はもう、お前を……」(続)
「トオルが―—この人が、わたしの救命ポッドを拾ってくれました。……命の、恩人です。
ここの人達も、バイロン人のわたしに、とても、とても良くしてくれました。優しい人達なんです。
だから兄さん、お願いです。これ以上、皆を……」
「トオルを、傷付けないでぇッ!!!」(続)