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顔がそれぞれ異なるように内部構造もまた異なる。内部構造のバリエーションを知っていくと、その構造が持つ本来の様相がおぼろげながら見えてくる。すると、教科書をトレースしたような「正確さ」にこだわらなくなる。添付は広頚筋のバリエーション。ランツ『臨床解剖学』より。
リトグラフが用いられた最初期の美術解剖学書。ジョージ・シンプソン『骨と筋の解剖学』(1825)。全ての図が実物観察に基づき、実寸大で描かれている。上腕骨や大腿骨などの長骨は、関節付近の局所図。
陰影の描写が上手に見える図でも間違っていることはある。逆に素朴に見えて「どうやったらこんなアイデアが出るんだ…」という図もある。解剖図に必要なのは、画家の作家性や描画技術ではなく、間違いの少ない図。
教科書を見ていて、触覚的な図(触らないと描けない)のチョイスがあると、解剖体験があるのかなと感じる。1枚目:著者(Heupel-Siegen)の素描。2枚目、下段:同著者による口角周辺の表情筋を裏側から見た図。
教科書ではあまり書かれないが、腹壁の筋は多様な動作を行い、それが外形に大きく影響する。ヨガのインストラクターなど左右の腹直筋を交互に動かすことができる人もいる。
解剖図における構造の色彩はある程度自由である。何でこの配色かわからないが、腱の配列と範囲が見やすい。人体という自然物は、見方も意見も色々。色々な意見を見聞きして、気づかなかった部分を埋めていく。
僧帽筋。添付図を描いたリシェはT10を起始の下限としているが、T11か12しか見たことない。リシェの図は観察所見に基づいているので、レアケースを観たのかもしれない。