○×遊戯【完結】さんのイラストまとめ

勿論、刀を握り締めた花花花が其れを飾りとする事は無い。真っ直ぐに鋒を向けて叫ぶ。
「綱切の体で騙るな───！！！　」

言おうとして、考えが纏まらなくなった。否、全てを其れに持って行かれたと言うべきか。
渡鴉刈は自身を貫く腕の存在と、其処から流れ出す血液の温かさで目を見開いた。

「が、ぼ」
「いすゞッ！！　」

壁に凭れ掛かる二人、目線の先には誰も居ない孤児院の廊下が広がる。
今は誰もいない。紅羽は隣に立つ綱切に目を向けた。

「貴方の周りも、私の周りも沢山死んだね」
「…………」
「……ねえ、碧桜が死んだ今貴方はどうするの？　」
「うるさい」

「あはは！　待て待てー！！　」
「……はっ、はっ」
「空希君？　……とミズ君かな？　」
「空希君も来ていたのか……」

薄いカーテンに差し込む月光が、ぼんやりと傍机に置かれた林檎飴を照らす。
傍机から手を離して、ゆっくりとベッドへと向き直る。

間宮は自分の目下で眠る片割れの胸元を見た。規則的な動きで上下し、お面も外して素顔が露わになった口からは穏やかな寝息が聞こえた。

「……よかった」

「骸涅と一緒に似合うのを見繕って来たんだ。うん、姉ちゃんには紫が良く似合う」
「如何しても、紫で、可愛らしい花の飾りの付いた物が良いと言って聞かなかったんだ」
「花……？　」
「女は花が好きって聞いたんだ！他の女はどうでも良くても、姉ちゃんには好きな物をつけてもらいたい」

「紅羽ちゃん……」
「……」
「そんな事したら死んじゃうんじゃ無いの？　」

「……死んでる？　」

「はあ……こうなるなら飲まなければ良かったですよ」
「はは、済まんね……もう手が使い物にならないもんだから、軍刀を握れなかったんだよ」
「別に良いですけど、次こう言う作戦持ち掛けたら絶対断りますから。絶対」
「御免ってば……」

「……又退魔師ですか。前とは違う奴見たいだが……まあ、彼奴等と同じ様にしてやりますよ」