○×遊戯【完結】さんのイラストまとめ

そんな思いを込めて、少しの苦笑を浮かべて、伸ばした腕を更に彼に届く様願いながら伸ばす。

「定……君が、安全で、いられますよう……」

倒れ伏せる日外の手を握り、半ば引き摺る様にして運んで行く。此の神社の下には、確か人間がいっぱい居るところがあった筈。そうやって思い出しながら、先程の間宮の言葉を反芻する水之子。

「此れが終わったら遊んであげる、か！ふふふ、楽しみだなぁ。オレにも人間の友達出来ちゃうな！」

「離せ！！此奴はわしが！！」
「もう辞めろ！！辞めてくれ！！」
「何故此奴が！！」
「紫苑！！！！」

「彼奴は___」

言い掛けて、口から紡がれたのは音では無く赤黒く特有の粘度を持った鉄臭い其れ。
ごぷ、と濁った水音が頭の中で木霊して、抑えきれなくなって迫り上がったのを全て吐き出す。

「何だ、仇討ちか？今更にもなって」
「……」
「哀れだなぁ、お主も其の相手も。もう此れで何年前になる？」
「…………」

只そう夢想する彼も妖で、雨に打たれ先述の木々と同じく止めどなく流れていく其れは雨粒か汗か、はたまた__

骸涅は立ち尽くす。森の中、ぼんやりと遠くを眺めながら。無慈悲な冷たい天の涙を全身で受け止めては、目だけに妙な熱い何かを感じながら。

六月も差し迫る。そろそろ梅雨なのだ、降り始めた雨は地面と世鷹から赤色を奪う様にしてぽつぽつと降り始める。

血が洗い流されていく様な感覚と共に、もうどれが自分から流した涙なのかさえ分からず世鷹は昼下がりの雨天の下、ただ立ち尽くすばかりであった。

髪を、触られている。髪を汚されている！！

ごぷ__

気付いたと同時に、拒否反応の如く溢れ出した血液。目から、鼻から、口から。穴という穴から温もりが逃げていく。

口をはくはくと動かし、友人の死に対して動揺を隠し切れぬ世鷹に、鋏は畳み掛けるようにしてくつくつと笑い始めた。

「はは！！人間風情が妖を語るからだ！！ずっとずっとずっと、俺の妨害をし続けて来た天罰だな！！」