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(パンケーキの粉を水ではなくミルクで溶いてかき混ぜる音)
(缶詰のホイップクリームを開けてかき混ぜる音)
(部屋に集まった野郎どもの数を数えため息をつく音)
(ソーセージで飲みのツマミ用のカリーブルストを山盛り作る音)
(バクシー以外がババアと言ったので、マックスをお玉で殴る音)
毎度、ラブアンドピース清掃会社でございます。
――本日は、ラッキードッグ……失礼、ジャンカルロさんの誕生日とのことで。はい~。
僭越ながら、この日にお祝いを、と。
おめでとうございます、幸運のジャンカルロさん。
あ、プレゼントを車から降ろしますね。
うちの農場のフレッシュお肉を……
よう、リッカルド。……いよう、ルキーノ。
二人が、現場のシノギで忙しいおまえらが顔だしてくれただけで、俺は嬉しいよマジ。
フフ、真っ赤なワインにバラ、ときたか。んもー。おまいら、こんなところで俺口説いてどうする気だよー。そういうのはレディにしろ。
……って、ホントありがとうな。
「これはこれは、旦那。舞台をお間違えですか、そんな花束で口説ける尻軽はここにはおりませんよ」
「田舎っぺのくせにフランスかぶれの“やさ男”か。ん? いい酒を持ってるじゃないか」
「ほう、わかりますか。さすがです」
「当然だろ。……ジャンへのプレゼントか? eccellente」
buon compleanno! まだ起きてるか、ジャン。
ちょっと出遅れたが……主役は遅れてやってくる、ってな。まずはこの花束……どこに飾ればいい?
しかし殺風景な街だ、少しくらい華がないと男気がしおれるぞ、ジャン。なんだか、見知ったツラもいくつかあるが……今日は飲もうぜ!
oyeux anniversaire!
ジャンさん、お誕生日おめでとうございます。今年も、貴方のお誕生日を祝うことが出来て俺は幸せ者です。
……こちらは。シカゴの倉庫で見つけて、頂戴してきました。ボルドーの時代物です、美味いですよ。
ぜひ、バクシーの旦那たちとお楽しみください。
「若旦那様が、急に。指輪をお作らせになりまして。揃いのものを二つ」
「ほう。……って。めでたい話だったら、貴様はここにおらんよな」
「若旦那様、その指輪を持って……ロックウェルに」
「あー……。ジュリオのやつ、ジャンをなあ。だいすき侍すぎだろ、あれ」
「ハァー……。もう一杯……」
「……まあ飲め、ベレット。今夜は、お前のほうから話があると――飲みに誘ってきたあたりで分かっていたわい。もうわしは一杯飲んどる、遠慮せずに愚痴れ」
「ヴェスプッチ顧問、お気遣い痛み入ります。……フハー。……坊ちゃまが、ですな。いえ、今は若旦那様がですな」
「やっぱりソレか……」
「なぜ、今そんな話を……。私もその闇に埋葬されるはずだったのに――」
「ああ。……埋めてしまったんだよ、もう」
「……」
「今夜は、アレッサンドロを一人にしておいてやりたいんじゃ……」
「……そうね」
「他に、儂があの子のことを語れるのはテレサ、お前しかおらん」
「そうね……」
デイバン 聖リタ修道院に一人の来客があった――
「あらめずらしい。カヴァッリ殿が礼拝にお見えになるとは。……どうしたのです、とうとう私を処刑する決断を?」
「……テレサ、座って話さんか」
「……」
「いろんな事があった。いろんなものを壊して、いろんなものを埋めてきた儂らじゃ」