いやしの本棚さんのイラストまとめ

両腕であなたを抱きしめるとき
わたしは、この世から長いこと忘れ去られた
美しいものに心臓を押しつけているのです。

―イェイツ「マイケル・ロバーツが忘れ去られた美を思い出す」より

絵：ジョージ・フレデリック・ワッツ「選択」

失われたひとりひとりもなお私たちと共にある―
新月は見えなくても空にとどまり
雲にとざされた夜
輝く月と同じに海の潮に呼び寄せられるもの

―エミリ・ディキンスン作品番号1605より

絵：Jozef Simmler

たましひの回りの棘も枯れ果てし　中村苑子

絵：エリュー・ヴェッダー「死の杯」

二月蒼き水に霑ひ妹は逝き　中村苑子

絵：リュシアン・レヴィ＝デュルメル「オフィーリア」

生はただよふ檻おそらくは流水の一すぢの紅たゆたふ上に　塚本邦雄

絵：アレクサンドル・カバネル「オフィーリア」

声もなく歩みつつ
白い眼で
闇に見入る
蒼ざめた少女たち

―ホフマンスタール 川村二郎訳「メルジーヌ」より

絵：バーン=ジョーンズ「プシュケの結婚」

鈴が鳴るいつも日暮れの水の中

墓山に琴鳴るはわが生霊（いきすだま）

身のなかの一隅昏らし曼珠沙華

―『中村苑子句集』（芸林書房）より

絵：ジョン・メリッシュ・ストラドウィック「キルケとスキュラ」

百合剪つてくれし少年尼僧めく　中村苑子

絵：アルフォンス・ミュシャ「百合の聖母」

岡上淑子作品集『Drop of Dreams』、ついに入手しました。清水の舞台から飛び降りました。ワインカラーの布張りの表紙に作品を印刷したプレートが貼りこまれており造本も上品。華やかな作品もいいけど、静かなコラージュも好きですね。