いやしの本棚さんのイラストまとめ

青白き月のひかりに身を投げて舞はばや夜の落葉のをどり

―片山廣子『翡翠』

写真：Mira Nedyalkova「Toxic」

水の邊にたましひこそはわが迷ひ桔梗むらさき雲の影逝き

―多田智満子『水烟』

写真：Charlotte Grimm「vulnerabilité」

おまえは夢のなかで生きている。おまえは生きることを待っている……。

―シモーヌ・ヴェーユ　山崎庸一郎、原田佳彦訳『カイエ1』

写真：Magdalena Berny

人があおむけに浮く水、人が身を投げる水、それは眠りの水だ。

―エドモン・ジャベス　鈴木創士訳『問いの書』

写真：Dorota Gorecka「deeper and deeper...」

暁闇（アケグレ）の光りに照りて、
しみ沁みに　身は冷えとほり、
雪よ雪　身をふり埋む―。
　雪のなかに　我は覚めつゝ
　かくながら　永久（トハ）に覚めじと
　　思ふかそけさ

―釈迢空「足柄うた」

眠る女たちを集めてみました…（なんとなく）。①ウォーターハウス「聖セシリア」、②バーン＝ジョーンズ「眠り姫」、③フレデリック・レイトン「ヘスペリデスの園」、④アルマ＝タデマ「アンピッサの女たち」

私はそれを、幼くて意味もよくわからないまま、≪図書館≫と名づけた。そこには、大好きだった本をたくさん詰め込んで、眠らせているの。

私、こんな塔の中にさえいなかったら、きっとそこで図書の整理をしていたわ

―間宮緑『塔の中の女』

夜の海森のごとくに鳴りをればノートルダム、と誰かは呟く

―葛原妙子『葡萄木立』

写真：Brooke Shaden「a light for tarnished souls」

カイ・ニールセンのThe Three Princessesの絵、好き。

花のごとく閉ぢむとなしてめつむりぬフラムスチード天球圖譜

をさなごの指を洩れゐるものあまた花絡のごときもの　星のごときもの

―葛原妙子『葡萄木立』より

画像：Colette Saint Yves